イー・ウーマン（ewoman）

保守的から打破し（真打ち・栃木県・41）

身内で凝り固まって“守り”の姿勢を維持する傾向が、どこか美徳とされていた風潮が、案外 根強く残っている事が普及の妨げの一つに思う。しかし近年では、民間出身者が校長の要職に就くなど、賛否両論あるにせよ、思い切った試みが目立つようになった。こうした成果の波及で、社外取締役への意識も変化していくのではと考えている。

株主の役割認識（marco302・海外・その他・39）

結局は、株主に対する責任の違いのように感じます。欧米は株主に対する責任は絶対であり、経営に失敗した役員は即解任となりますが、日本ではそこが甘いからではないでしょうか。日本の企業のCompnay Missionを見ても、株主に対する責任を明記しているところは少ないですし、最近個人投資家も増えてきましたが、企業の株主に対する責任に関しては、まだ認識が薄いように思えます。その点が向上すれば社外取締役も増えるのではないかと思います。

聞く耳を持ち冷静な議論を（にゃおん・埼玉県・43）

議長がおっしゃるように日本で増やすには、「社外の人間に渡すことに抵抗感を持つ会社、経営者が多い」考え方を改める必要があると思います。自分のやり方で成功した、という自負があるからこそ、他人の意見をひとつの見方として聞くことができない。そういうことは、会社であれ、個人であれ、あるのではないでしょうか。自分の意見を持ちつつ、相手の意見を聞く耳を持つ。その中で冷静な議論をする習慣があれば、社外取締役を受け入れる環境もできていくのではと思います。

自営ですが意見は欲しい！（unagi・東京都・50）

社外取締役はそれなりの規模の会社であれば必要だと思います。ただ同じ利害関係にある会社の人やお飾りの取締役では、存在価値が疑われます。原発問題に揺れる電力会社も社外取締役を置いていた訳です。大切なのは、自ら企業倫理やコンプライアンスを高めようとする真摯な姿勢だと思います。その上で独立した立場での社外取締役は必要でしょうし、増える事を期待します。企業を活性化するという観点からも、経験豊富なCEOが異業種の社外取締役を兼務するとお互いにメリットが大きいのでは。

内と外を分ける日本人の心性？（いぬいるか・東京都・51）

日本で社外取締役が普及しない理由は、仲間意識の強い（いわゆる「なーなー」）閉鎖的な企業文化や、「内」と「外」とを分ける日本人の心性なども要因の一つと考えます。もっと積極的に情報を開示して風通しを良くし、多様な意見を受け入れて議論していく姿勢が必要であると思います。

皆さん、ご意見ありがとうございます。複数回にわたってご意見いただいている方も多く、議論が深まっていっていることに感謝します。
 
仕事柄、多くの社外取締役と接点を持ちながら本音のお話を聞くことで、社外取締役の方々の経験を共有させていただいたり、企業側でも、グローバルにビジネスを展開する大企業だけでなく、比較的規模の小さな企業、同族企業にも社外取締役候補者の人材を紹介したりして、取締役会改革を通じて企業が変わっていく様を間近に見てきました。
 
そうした貴重な経験をさせていただいて思うことは、社外取締役制度というのは、企業経営の健全性を保ちながら、競争力を高めていくうえで、極めて良い制度だということです。
旧来型の日本的経営と深く結びついているためで、一足飛びに確立できるものではありませんが、時代の変化に対応するために、徐々に、しかし着実に進化を遂げていくものだと思っています。その意味では、今回のご意見では、浸透していかない理由、逆に言えば、解決への糸口を示していただきました。
 
真打ちさんの「守りの姿勢を維持する傾向」、marco302さんの「株主に対する責任の違い」、にゃおんさんのご指摘の「成功体験」、いぬいるかさんの「閉鎖的な企業文化」については、いずれも閉塞感ただよう日本企業の問題を如実に表すものです。
 
また、unagiさんの「利害関係にある会社の人やお飾りの取締役では、存在価値が疑われる」は実効性を伴わせるための重要な示唆ですし、オフェンシブな面に焦点をあわせた「企業活性化の観点」も見逃せない論点です。
 
社外取締役がいない状態とは、極端に言えば、何十年も同じ釜の飯を食っている者（従業員出身のシニアの男性に象徴）だけで重要な意思決定を行う取締役会が構成されているということです。グローバルな競争環境の中では、大きなリスクを背負っているとは考えられないでしょうか？
 
ダイバーシティの問題とも大きくかかわります。取締役会を開かれたものにしていく、そのための「社外」という切り口ですし、同時に「女性」や「外国人」といった視点にもつながっていく問題です。従業員のダイバーシティも大事ですが、会社は上（取締役会）から変わっていく必要があるのではないでしょうか？
 
企業の意思決定最高機関でもある取締役会の改革は、企業変革の象徴的なものです。
経営環境の変化が速い時代だからこそ、積極的に外部の意見に耳を傾けながら大胆な経営戦略を打って出て、グローバル競争に勝つことが求められる。実は、そのことこそが、社外取締役制度の目指すものです。
 
この会議に参加された皆さんの会社でも、形だけではない、実効性を伴う社外取締役制度を活用して、企業が変わっていくことを期待しています。内向きの姿勢から脱却して、広い英知を結集した強い企業が日本にたくさん生まれ、それが日本経済全体の活性化につながっていく。社外取締役というのは、それくらい重要な制度だと思っています。
 
皆さんの鋭いご意見に刺激を受けながらの、あっと言う間の一週間でした。
ありがとうございました。

• 2011.08.22
• 富永誠一 日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク　専務理事