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会議番号:3231 開催期間 2013年04月26日- 05月03日
「攻める農業へ」(marco302さん)「質の高い農産物は世界に通用する」(にしひがしさん)など、農業再生のきっかけにしよう、という意見が寄せられました。その通りだと思います。しかし、農業をしている人たちにとって厳しい現実です。どの産業にも「頑張って成果を上げる人」はいます。しかし産業の構造が変わる時、多くの人は脱落して辛酸をなめる。 だからといって大多数が「頑張る人」を押さえつけると再生の芽は育ちません。それこそ座して死を待つことにもなりかねない。 日本の農業の現状は、農政が行き着いた結末でもあります。コメの市場開放を受け入れたウルグアイラウンドの時も「これをきっかけに再生を」と6兆円が投じられましたが、「解決一時金」のようなバラマキに終わりました。今度もそれが心配です。 農業5品目のすべてを守ることは難しい。交渉が始まれば「どの作物を犠牲にするか」苦しい決断を迫られることもある、と思います。 日本にとって農業はTPPの重要問題ですが、農業や関税ばかりに目が向かうとTPPの本質を見誤ります。TPP交渉はなんのための交渉か、改めて考えてみましょう。 第二次大戦後に始まった通商交渉は、関税引き下げ交渉でした。当時の経済は国内で作った製品・作物を外国に売り込むのが主流でした。安い外国製から国内産業を守るため関税を高くする、という政策が貿易の阻害要因でした。 当時は米国がすべての産業で優位に立っていました。国内保護のため関税を障壁にする欧州・日本・途上国に「関税引き下げ」を迫り「貿易自由化こそ世界を発展させる」という考えを流布させました。 ところが戦後30年ほどでダントツだった米国の競争力は鈍り「自由化」は我が身を攻めるシステムになった。繊維・鉄鋼・半導体・自動車など様々な産業で日本に追い抜かれ、貿易摩擦の中で米国は「保護貿易」に傾く。自由化の旗手だったのに日本に「自主規制」を求めて国内産業の保護に政治力を注ぐ、という事態になったのです。 一方、自由化を良しとする「関税交渉」は60年を経て「残るは政治品目ばかり」という状況になっています。つまり限界に近いところまで下がったというのが現状です。 「自由貿易」を素朴に主張していたアメリカ万能の時代は終わり、貿易摩擦の元凶・日本を抑える時代も終わり、今では日本も中国や韓国の企業に脅かされる時代です。 輸出に代わり現地生産が盛んになり、経済もモノ=製品から、サービスや知的財産へシフトしています。 TPPは、輸出入で分が悪くなった国が、新しい経済ルールで国際競争力を取り返す「外交戦争」でもあります。 日本は「守り」ばかりで「攻め」の戦略に乏しい。せいぜい「これを黒船と思ってガンバロー」という精神論がほとんどです。 それに対し、交渉を主導する米国は目標が明快です。「強みである保険や金融の市場を拡大する」「自動車は徹底して守る」「薬品価格を上げさせる」「著作・特許権の期間を長くする」「外国の地方自治体まで工事や調達を外資に開放させる」「経済活動への政府関与をなくす」など、具体的な目標項目を定め自国に都合のいいルールを作ろうと邁進しています。 米国が「あこぎ」なのではありません。交渉術に長けているだけです。TPPは政治力学や軍事援助まで含めた外交総力戦です。 交渉参加への事前交渉を見ても、日本はいいようにあしらわれている、と私は不安です。したたかな交渉をするにはどうしたらいいのでしょうか。みなさんはどう思いますか?★こちらもご覧ください〜山田議長の過去の円卓会議より・TPP協議に参加することに、賛成ですか反対ですか?(2011.10月)・沖縄問題。あなたの考え、まとまっていますか?
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