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会議番号:3384 開催期間 2016年03月18日- 03月25日
本日もいろいろな意見をいただきました。ご意見の中に、「多様性」「インクルージョン」「自己責任」「潜在者」「規格から外れた者を糾弾」など、いろいろなキーワードが含まれていると思いました。私の考えとあわせてまとめさせていただきます。 (1) ストレスがあって当たり前の社会。 最近の日本の子どもをみると、学校に行くことに多くのストレスをかかえています。「学校に行きたくない」が当たり前であれば、精神面の問題を抱えた子どもが目立たなくなります。私は、子どもの自尊感情の研究を行ってきましたが、質問紙評価で、「日本の子どもの自尊感情が低いのが普通」であるという結果に驚きました。自尊感情の低い子どもの支援を目的としていたのですが、それ以前に、「なぜ全体的に低いのか?」という疑問が生じてきました。これは日本社会全体に共通することで「自信がないのが普通」「ストレスが多いのが当たり前」であり、個別要因が目立たなくなる状況と考えています。 (2) 社会全体の許容範囲が狭くなる。自己責任、説明責任などという言葉をよく耳にします。しかし、弱い立場の人にも要求することは、配慮が必要です。裏返せば、管理責任者の「(相手の状況の)想像力の欠如」があります。昨日、薬物治療中で吐き気を催した生徒がトイレに行くことを、教師が拒否した事例が報道されていました。「説明がないとわからない」では済まされない典型例ではないでしょうか? 規則にとらわれ、個々の事情を推測する能力の欠如が、社会全体の許容範囲を狭くしているのかもしれません。 (3) 多数から外れることの恐怖感とネット依存。 日本人は、一度枠から外れた人に厳しすぎる国民性があると感じます。多数から外れることの恐怖感から、必死に集団の中に適応しようとします。「ストレス」「無視」「仲間外れ」に弱い人たちが、ネット上の交流でも同様の仕打ちだけでなく、攻撃を受けてしまう。ネットの存在が、病気の状態を発症しやすくしていると同時に、復帰を難しくしている可能性もあります。 (4)自己診断チェックリストの普及と病名の一般化 ネット上でもチェックリスト形式で診断基準が紹介されているなど、病名が身近なものとして感じられる一方で、受診にはつながっていません。1例として発達障害の人が急増していることが指摘されていますが、病名の一般化が「見かけ上の増加」として表れている一面もありそうです。(2)(3(4)とネットの関連は重要であると感じています。 ストレスを強く感じるほど、精神面の問題は、発症が早くより多くの人に目立ってきます。皆さんのご意見からも、個別のメンタルヘルスの重要性だけでなく、社会全体の問題としてとらえる必要に迫られていると強く感じました。病気の理解に加えて、多様性、人権を尊重しあう社会を目指したいものです。1週間お付き合いいただきありがとうございました。 ★古荘議長の関連著書・日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか(光文社新書)・教育虐待・教育ネグレクト 日本の教育システムと親が抱える問題(光文社新書)★古荘議長の過去の円卓会議より・「教育虐待・教育ネグレクト」について考えたことありますか?・自信をなくしている子どもを元気づける方法、ありますか?・新学期。子どもの心の変化をケアできますか?
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