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会議番号:3453 開催期間 2017年09月01日- 09月15日
今回もまた、鋭いご指摘、深いご意見をありがとうございました。フェイクニュースの拡散を防ぐため、国や企業はどのような対策を講じればいいですか? という問いかけに対して、「国は規制をしないほうがいい」という意見が多かったようです。その理由は「一種の検閲であり、都合の悪い意見が人の目に触れなくなる」(DiamondBarさん)というものです。 先にご紹介したように、ドイツは偽ニュースを流し続けたSNSなどの運営会社に、最高5000万ユーロ(約60億円)の罰金を科す法案を成立させました。ドイツがここまで思い切った対策を打ち出したのは、ナチスによる大衆操作という苦い歴史があるためともいわれています。 しかし、みなさんが指摘するように、国の規制は検閲につながる危うさがあります。「報道の自由度ランキングが72位の日本なのだから、これ以上情報の選別をやめてほしい」というのは、ゆみ子さん。たしかに報道の自由、さらには「表現の自由」が損なわれるおそれもあり、議論が分かれるところです。 次に、企業としての対策。大きく二つのグループに分けて考えたいと思います。ひとつは、新聞、テレビ、ラジオといった「メディア」と呼ばれるもの。もうひとつは、ソーシャルメディアなどインターネット上に情報の「プラットフォーム」を提供するIT企業です。 マスメディアは、もともと情報の確からしさを確認する「裏とり」をすることで、情報の真偽に対しては「責任」をもって来ました。ところが、ソーシャルメディア時代に従来の方法では不十分であると、NHKはファクトチェックを行うチームを立ち上げています。フランスでも、大統領選を機に通信社やテレビ局などが連携し、インターネット上の情報の真偽を確かめるサイトを立ち上げました。 さて問題は、ソーシャルメディアを運営するIT企業です。偽情報が素早く世界中に拡散するようになったのは、SNSの普及によるもの。そこで、SNSの運営会社の責任も追及されるようになったのです。 blueberry53さんは「実名で認証する。裏取りを実施したものに『確認済みマーク』、虚偽や疑義のあるものは批判意見(認証を受けた)をリンクさせる」といった具体的な提案をしてくれました。まさにグーグル社は、信ぴょう性が疑わしい情報にはファクトチェックの結果を表示する機能を導入しています。「対策できない企業は淘汰されていく。それが自然な姿」(unagiさん)という意見も寄せられました。 こうした企業の対策についても、「企業が情報検閲をするのか」という批判があります。 フィナンシャル・タイムズのグローバル・ビジネス・コラムニストのラナ・フォルーハー氏は、こんな問題提起をします。 「今やIT企業はヘイトスピーチや偽ニュースをあおるだけの影響力を持つだけではなく、そうしたコンテンツがどこに掲載されていようと、いつでも自由に削除できる」(日本経済新聞、2017年8月31日)。そうした時代を迎え、「従来とは根本的に異なるルールが必要になっている」といいます。これまでは「ユーザーが違法なコンテンツを載せたり違法行為を犯したりしても、IT各社はほぼ責任を問われることがない」という米通信品位法の免責事項がありましたが、これを見直す時期にきていることを同記事のなかで示唆しています。 国も、メディアもIT企業も、まさにこれまでのルールを見直すときなのかもしれません。一方で、個人のリテラシーをますます磨く必要があることは間違いありません。DiamondBarさんは「規制により五感を使えなくなる人が増えるのを怖れます」といいますが、個々人の情報の真偽を確かめる眼を磨くことが最大のフェイクニュース防止策になると思います。 この1週間、みなさんとフェイクニュースについて考えてきました。フェイクニュースにだまされない自信、ありますか――という問いに、YESと答える人が少しずつ減っていったのは、みなさんがその難しさを知り、自分に厳しくあろうと思っていることの現れかと思います。これからも、メディアリテラシーを育み、フェイクニュース拡散を防ぐために何ができるか、考えながら行動していきたいと思います。一週間、たくさんの投稿をありがとうございました。★野村議長の過去の円卓会議・定年を意識したことがありますか?
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