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会議番号:3458 開催期間 2017年09月22日- 09月29日
「産める会社」への積極的な風土改革へのご提案をありがとうございました。就労妊婦の支援制度は、現状は短時間勤務や在宅ワークの幅を広げるなど、時間換算可能な制度から運用されます。業界・業種・本人の職能により、制度があっても活用しにくい精神風土がある場合は、各組織ごとに「産める会社」への長期戦略が必須となるでしょう。長期的に戦力となる女性人財を育成する計画があれば、マネジャー候補が妊娠出産を希望したからといってキャリアプランを変更させることはできないはずです。労働人口の43%は女性です。5年後、10年後、ワーキングマザーになるキャリアデザインを持つ、優秀な働く女性に選ばれる企業になるためには、今から改革しないと間に合いそうにありません。 なかじさんのご意見はストレートです。“「産める会社」となるためには、根本的に「男性の意識改革」が必要なのではないでしょうか? これは「女性活躍」全般に言えることですが、いくら女性の働き方改革を進めたとしても、男性が「家事をやるのはあたりまえ」「妻と分担」という意識をもたなければ改革はできないと思います”と。これはイクメンを進める厚生労働政策でも提言されていることです。家事は家族の仕事。社会は家族によって構成されています。働く女性のパートナーである働く男性が、衣食住はじめワークライフのライフ面に主体性を持たずに幼児期男子のように「してもらって当たり前」では、伴侶に負担が増えるだけでしょう。次世代にも負のモデルとなります。 ワークライフバランスは、2000年に英国のブレア首相(当時)が提唱して開始しました。ブレア家の第4子が誕生する時に、首相職でありながら育児休業取得をしたことは有名ですね。なかじさんのご提案どおり、社会はもちろん、各企業も「家事も仕事もする男性のすばらしさ」を社員に諭していくことが、「産める社会」「女性活躍」を進める鍵となる]と考える人が、大多数なのではないでしょうか。そうでなければ、持続可能型社会は創生していけません。一方、新生児の愛着形成期を犠牲にするような早期職場復帰プランはおすすめしません。産後8週で無理して復帰しても子どもの夜間授乳も頻回な時期、新米ワーキングマザーの仕事も不調になりがちに。育休期間はホリデーではありませんし、仕事より忙しい日々です。産前産後のリテラシーが広まれば、非言語面の共感も増え、風土改革の一助となるところです。 月のしずくさんも「いかに男性を巻き込むか」とのご意見です。部署や上司個人の価値観により、部下のワークライフバランスが整わない社内風土では、産める会社とはならないでしょう。第1子産後は復帰しても、第2子誕生を希望する際に退職してしまっているケースが多いのが日本の現状です。2030年に合計特殊出生率2.08となれば、2050年の日本も1億人以上の人口が保てるという試算から、深刻な少子化に悩む自治体や地域の中小企業経営陣は、産める経営にシフトしています。例えば、東日本大震災後の宮城県気仙沼市では少子化対策として合計特殊出生率「1.9プロジェクト」が開始して、子育て世代包括支援センターを設立し、妊娠中からの不安軽減事業などに積極的で、行政が就労妊婦も支えています。 月のしずくさんの「男性が育休を取得すると制度が改善されたり、男性講演者がデータを元にダイバーシティを語るといい反応があったりするので、いかに男性を巻き込むかに注目して施策を打っています」の戦略、課題意識を産むためにトライアルを始める組織が増えるといいですね。 DiamondBarさんのご紹介くださった在宅勤務の導入も、功を奏しています。環境問題でも活躍するユニリーバが展開中の新人事制度WAA「Work from Anywhere and Anytime」は成功をおさめており、多くの企業に制度開始の方法論をシェアするために定期的に説明会を実施しています。WAAを導入した結果、労働生産性も高まり、遠距離恋愛だった女性社員が結婚するなど、少子化対策にも具体的に効果がある制度です。 就労妊婦の第1子妊娠中退職の理由の2位は「体力が持たない」ですから、DiamondBarさんのおっしゃる通り「在宅勤務を導入し、1週間のうち何日かでも通勤での体の負担を減らすことができるのは大きい」のです。「育児休暇からの復帰の際に在宅勤務から始めることにより職場復帰をしやすくするなどの効果も出ています」とのこと、多くの企業が後に続くといいですね。 真打ちさんは、「制度が行政だとすれば、風土は現場の人間で整備していくもの」との哲学を昨年も投稿くださったとのこと。「等身大で考える事は風土の基礎であり、本来 制度に反映されるべき本音である。部屋で考えるだけ="半歩"だとしても、それも前進の一つだ。」は力強いお言葉。個人の意識の集合体が制度と風土の源泉です。真打さんのようなリーダーが増えることを願ってやみません。 最後に「個々の意識改革」とズバリ述べてくださった、ゆうたんぽんさん。「日本の資本主義がこのような産めない環境にしたのではないかと思っている。そのためには幼少の時期よりそういう教育をすべきだと思う。今何ができるかと問われれば子育て経験者が次へバトンを渡せるように育児に関わるサポートに回るべきだと思う」との、あたたかい未来図を示してくださいました。同意します。 「経験者に適う者なし」とのご意見に鑑み、私たちが現段階でサスティナブルな社会を構築していくためには、働きながらの妊娠、出産、育児をどう支えるか次第です。子どもが生まれてくる未来を創るのは、子どもを育てていける見通し。それは、生活資金を得る、職場の体制に大きく左右されるのではないでしょうか。「仕事の都合で、妊娠出産も育児もできなかった」という次世代を増やすのか、減らすのか。当事者世代にもライフデザイン、キャリアデザインの変革が必要な時期かもしれません。未来を変えるために、啓発や教育でできることは何でしょうか。社内研修や学校のキャリア教育、また当事者や保護者層のエンパワメントなど、アイデアをお聞かせください。★大葉議長の過去の円卓会議より・全国で進行中の少子化対策。良い策はありますか?・「流産」の心配や経験、職場で話したことありますか?・働く女性と出産タイミング。考えたこと、ありますか?
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