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会議番号:3531 開催期間 2019年02月15日- 02月22日
領土問題は、絶対に自分たちが正しいというナショナリズムが双方にあるので、平和的な解決は極めて難しいことになります。そこで、今どこが支配しているかという「実効支配」が重視され、それを変更するには、大きなコストがかかります。私たちが領土問題を考えるときに、そのコストを軽視して、正論や正義だけを振りかざせば、戦争という大きなリスクを招くことになりかねません。 北方領土の返還で、まず考えなければいけない経済的なコストは、日本がロシアに約束するはずの「経済協力」です。シベリアや太平洋沿岸部にかけての地域は、まだまだ経済開発が進んでいませんから、ロシアがほしいのは、日本からの民間投資でしょう。石油や天然ガスなどのエネルギー開発が考えられ、資源のない日本へのメリットも大きいはずですが、大規模な開発になりますから、日本の民間企業に開発意欲がなければ、カラ約束になってしまいます。 次に、みなさんが指摘されたように、いま北方領土に住んでいるロシア人への生活保障を考える必要があります。歯舞群島には国境警備兵をのぞき居住者はいないようですが、色丹島には約3000人、国後・択捉の両島には約1万3000人が住んでいます。離島するロシア人への“補償金”のほか、定住を望む人たちには、相応の手当てや社会保障も必要でしょう。「シンゴパパ」さんが言うように、返還にかかるコストを算出して「国民への負担についても議論の遡上に上げ」ることが必要だと思います。 日本側の経済的なメリットは、なんといっても水産資源でしょう。北方領土の周辺は、サケ・マス、カニ、スケトウダラ、サンマなどが豊富な海域ですから、そこでの漁業が自由になれば、水産業は活気が出るでしょう。「Jerryb」さんは、豊富な水産資源など「経済的に得るものが大きければ、その範囲内でコストを支払って決着というのはあり」だと言います。ただ、「Jerryb」さんが指摘したように、この地域の支配をめぐる両国の歴史がからんできますから、経済的な利益の範囲内ですむかどうか、難しい交渉になりそうですね。「DiamondBar」さんも「経済援助により得られるものが漁業権くらいだとすると、経済効果では説明が難しく、住んでいた人の感情や戦争により奪われた領土は返還されるべきという道義をどう量るかだと」と言います。 「まうやん」さんは、金銭的には相当額の負担を迫られると予測、「領土問題を抱えている韓国や中国からも法外な額を請求される」おそれがあるとして、「お金で解決して欲しくない問題だ」と言います。「やっちゃん24」さんも「大盤振る舞いは控え、最小額への交渉を望」むという意見です。 一方、北方領土は、コストの問題ではない、という意見もあります。「n.dan」さんは「かつて暮らしていた日本の島民と今暮らしているロシアの島民、その人達の気持ちの方が複雑な気がしています」と、日本の旧島民やロシアの現島民の気持ちが大事だと指摘します。たしかに新旧の島民の理解がないままに、交渉が進められれば、禍根を将来に残すことになるでしょう。「真打ち」さんも「膨大なコストの上で返還が叶っても、居住地を失う人々の今後の暮らし、返還後の領土の利用価値など総合的に考える事が大切」だと指摘します。 さて、日本の安全保障という視点からは、北方領土の返還問題をどう見たらいいのでしょうか。返還交渉が妥結し、平和条約が結ばれれば、日ロ関係は改善するかもしれませんが、日米関係や日中関係、さらには日韓・日朝関係のゆくえも気になります。みなさんはどう考えますか。「北方領土問題、解決策ありますか?」にイエス、ノーでお答えのうえ、ご意見をお寄せください。★高成田議長の過去の円卓会議より・移民の受け入れは、賛成ですか?・自民党総裁選、安倍首相の続投がいいですか?・平昌五輪。朝鮮半島の平和と安定につながりますか?
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