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会議番号:3531 開催期間 2019年02月15日- 02月22日
北方領土をめぐる日ロ交渉に解決策はあるのか、いろいろな見方から議論をしてきました。日本の安全保障というのも重要な視点だと思います。当面、カギを握るのは米国です。1956年の日本とソ連(現ロシア)との「共同宣言」に至る日ソ交渉で、一時は「2島返還」で日ソがまとまりかけたのに待ったをかけたのは、日ソの接近と沖縄返還の高まりを恐れた米国だったといわれています。 「Achiko」さんは、日米安保がネックで、日本が返還された北方領土に米軍基地を置かせないと約束したところで、信用されないだろうと言います。たしかに、米国追従の日本の現状をみれば、そうでしょうね。その意味では、「新冷戦」といわれる現在の米ロ関係をみれば、北方領土問題は日ロ関係だけではなく、米ロ関係ともいえそうです。 「blueberry53」さんは、ロシアの野心を考えれば日米安保を最優先にするしかなく、「返還」にこだわらず「共同統治」のような仕組みからはじめることを提案しています。北方領土にこだわり、日米安保を弱めるリスクをおかしてはならないということですね。「シンゴパパ」さんも、日ロで保有・利用する「シェアリングテリトリー」にするほうが、安全保障でも経済的にも有効だと言います。 日ロが北方領土で和解すれば、戦争によらない領土問題の解決だとして世界は驚くと思います。沖縄返還でノーベル平和賞を受賞したのは佐藤栄作首相でしたから、こんどは安倍首相で、トランプ大統領が推薦状を書いてくれるかもしれません。しかし、「DiamondBar」さんが言うように、中国や韓国は面白くないでしょう。領土返還の矛先が竹島に向けられることを恐れて韓国は防備を強化するでしょうし、中国は尖閣諸島を中日間の「領土問題」だと国際的にアピールするために、小競り合いを仕掛けてくるかもしれません。 「unagi」さんも、日ロの接近が日米や日中のパワーバランスを崩すのではないかと心配しています。東アジア全体の安定という観点から、北方領土問題を考える必要があるということですね。また、「Jerryb」さんが指摘するように、カネで領土を買い戻した、という印象を世界に与えることは、現時点では得策とはいえないかもしれません。「国家の品格」にかかわります。 このように、みなさんのコメントをまとめていくと、北方領土の返還は、日ロの国内世論、米国の立場、中国や韓国など周辺国の警戒など、多元方程式であり、日ロ首脳の政治的な思惑だけでは、とても解けそうにありません。とはいえ、プーチン大統領も、トランプ大統領も、そして安倍首相も強引にコトを進めるだけの政治的パワーを持っているのも事実です。プーチン大統領は日本からの経済協力を強調することでロシア国内のナショナリズムを抑え、保守派を自認する安倍首相も4島返還を主張してきた国内の保守派を説得し、トランプ大統領は安倍首相やプーチン大統領との「ディール」をもとに米国内の安保重視派を抑えて米軍基地無しの返還に同意する、という劇的なシナリオがあるかもしれません。 5月末のトランプ大統領の訪日に続き、6月末に大阪で開かれるG20サミットで、日ロの首脳会談が予定されていますが、ここで日露平和条約の締結に向けて、新たな進展が見られれば、首相は衆院の解散による衆参同時選挙に打って出ると思います。選挙の争点として、「2島返還」を打ち出せば、多くの有権者はそれに賛成し、自民党のさらなる大勝も夢ではない、などと考えているかもしれません。 北方領問題は、考えれば考えるほどハードルが高い交渉だけに、急転直下のどんでん返しがあるのではないか、と逆に思ってしまうのです。一週間、議論に参加していただき、ありがとうございます。また、この問題で議論するような「変化」があると期待しましょう。★高成田議長の過去の円卓会議より・移民の受け入れは、賛成ですか?・自民党総裁選、安倍首相の続投がいいですか?・平昌五輪。朝鮮半島の平和と安定につながりますか?
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