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会議番号:3537 開催期間 2019年03月29日- 04月05日
民意と政府方針の離反が決定的になったのは2013年の11月でした。それまで沖縄選出の自民党国会議員は全員「普天間基地は県外移転」と訴えていました。石破茂自民党幹事長(当時)が沖縄に乗り込み、国会議員を集め叛意を迫り、記者会見が開かれました。 国会議員5人が沈痛な表情で並び「県外移転」の公約を撤回。本土が沖縄の民意を封殺したシーンとして強く印象に残っています。 安倍首相は「決めたことはしっかり実行する」という姿勢です。安全保障政策は本土政府の管轄ですが、本の虫さんが指摘するように、普天間に代わる基地を沖縄に作る積極的な理由は示されていません。 普天間基地の米海兵隊は年間100日以上も海外で訓練しています。沖縄に常駐する必要はない。グアムへ移転する計画もあります。沖縄は、駐留経費を日本が負担していることが米国にとって都合がいい。ならば日本のどこかならいいわけですが、海兵隊基地を受け入れる自治体は本土にない。その結果、沖縄に押し付けられて、選ばれたのが辺野古でした。 後になって軟弱地盤が明らかになりました。海底はマヨネーズのようなどろどろ。滑走路を作るには7万6699本の杭が必要と防衛省は試算しています。沖縄県の推計では2兆5000億円の工費が掛かる。予算の10倍。工期も伸びる。予定の2022年にはとても間に合わない。 いい加減な公共事業を絵に描いたような事業です。「2兆円も使えば一部は沖縄に落ちて地元対策になる」という声がありますが、県民の多くが望んでいることでしょうか。 海兵隊員による少女暴行事件が起きたのは1997年でした。犯罪と事故が多発する危険な基地を撤去することから始まった計画でした。本来は基地を置くアメリカが汗をかく仕事です。日本政府の責任で代替地を探し、税金で基地を建設し、アメリカに提供する。日米安保条約で日本は基地を提供する義務があるからです。 しかし日本の公共事業です。きちんと調査をして税金の無駄使いはしない、という当たり前の原則はどうなったのでしょう。費用対効果の吟味も必要です。 辺野古基地は、沖縄の民意を無視するだけでなく「日本国民の税金の使われ方」に大きな疑問がつく事業です。消費税を増税しなければならないご時世に2兆円の税金を投じて環境を破壊する工事を強行する。沖縄の民意無視だけの問題ではないのです。 ダムや道路なら「税金の無駄使い」が大きな問題になっていたでしょう。他人事ではありません。 「安全保障」「日米安保」という政治がからむお題目が出てくると、議論は途端に低調になる。政治対立には関わりたくない、という傾向が強くなるのはなぜでしょうか。アメリカが相手では仕方ない、ということでしょうか。 沖縄の人は声を挙げています。本土には沖縄と聞いただけで「難しい問題」と思考を停止することはないでしょうか。沖縄と本土の分断が進んでいるようで心配です。 今回の議論が、必ずしも活発でなかったのは、そうした全体状況が反映しているように思います。そんな中で、この一週間、議論に付き合って下さった方々に「ありがとう」といいたい。自分事として考える人が、更に増えることを願い、沖縄の民意はどう生かせるか、問い続けていきたいと思います。★山田議長の過去の円卓会議より・沖縄知事選、注目していますか?(2018年)・本土の人は、沖縄に冷淡だと思いますか?(2015年)・沖縄問題。あなたの考え、まとまっていますか?(2012年)
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