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会議番号:3544 開催期間 2019年05月31日- 06月07日
投稿された多くの方は、「負担増が避けられない」ということでは共通しているようです。YESの方は「公平なのは消費税」という点に力点を置き、NOには「その前にまだやることがある」と主張が目立ちます。これは対立ではない。政策を考える時、対話の大事な論点です。 「人の2倍働いた人から2倍以上の税金を取るのは果たして平等なのか」。DiamondBarさんの問いかけは、税金の根幹への問いかけです。戦後税制の中核を担ってきた所得税・法人税への疑問符です。「生活インフラ、防災インフラ、これらすべてをみな平等に利用しているという認識をもちたい。等しく負担という考え方に立てば、所得税よりも消費税のほうが合っている」という主張です。公共サービスの経費を皆で支え合う。マンションの管理費がこの方式です。所得と関係なくサービスの対価として支払う。 こうした「受益者負担」という考え(応益主義)に対し、「税は支払い能力に応じて払う」という(応能主義)の考えがあります。「安定した社会を作るために税金はある」という考えで、「2倍の収入があれば2倍以上の税金を払う」ということになります。 「人間は生まれながらに平等」と哲学者のルソーは言いました。しかし、現実は「人間は生まれた時から不平等」です。親も出生地もDNAも自分で選べない。自己責任の人生レースはスタートラインから大きな差がついています。「平等」ってなに?ですよね。「結果の平等」にならなくても、「機会の平等」は政府の役割、ということが民主主義の基本です。境遇も能力も違う人が一緒に暮らす社会。「金持ち」であることは、突き詰めて言えば運がよかったからかもしれません。ファミリーヒストリーを紐解けば、どこの家庭も波瀾万丈です。生活の困窮はけっして他人事ではない。 ただ「社会を支えるため能力に応じて負担する」は、自己責任の対極で、下手をすると「政府の肥大化」を招くおそれがあります。 「大切なのは、国民一人一人が、生活の安定と公共サービスを享受できる環境を整えていくことだと思っています」と、にしひがしさんは指摘しました。 そのカネを誰がどう負担するか。国民が等しく貧しかった戦後、日本は所得税・法人税中心の税制を作りしました。稼ぎのあるひとが社会を支える、という考えです。高度成長をへて豊かになり、資産家は増えましたが金融所得など「資産課税」に重点は置かれていません。 所得税・法人税は減税され、消費税が導入されました。欧州には20%を超える消費税で高福祉を達成している国もあります。日本はその方向を目指しているとも思えません。 結果的には、貧富の差が拡大しています。「安心して暮らせる社会」をどう創るかが、課題となっています。 応益主義と応能主義。どちらが正しいか、ということではありません。実情に合わせ、どちらに重きを置くか、それを選ぶのは有権者です。 政治家は、もっと真剣に望ましい税制を議論してほしいものです。くれぐれも税制を目先の選挙の道具にしてほしくはありません。1週間、手ごたえのある議論でした。参加して頂き、本当にありがとうございました。★山田議長の過去の円卓会議より・沖縄の民意。活かす方法はあると思いますか?・英国のEU離脱、あなたは賛成ですか?・米朝会談。期待すること、ありますか?(2018年6月開催)★関連テーマの円卓会議・消費税引き上げ。先送りに賛成ですか?(2016年3月開催、議長:森信茂樹)
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