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会議番号:3578 開催期間 2020年01月24日- 01月31日
※編集部より 世界保健機関(WHO)の緊急委員会は、2020年1月31日未明(日本時間)、中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎の発生状況が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC: Public Health Emergency of International Concern)」には該当すると発表しました。 PHEICの詳細は、会議1日目に田村議長が「近日中に宣言される可能性」として解説しています。→会議1日目 ********* 最終日も沢山の投稿をありがとうございます。 武漢市に滞在されていた日本人で、やはり数名の方が、2019nCoVに感染しておりました。さらに、予想通り、全く症状のない不顕性感染の方もおりました。 つまり、2019nCoVによる感染症は、症状なくしても十分広まる感染症であり、裏を返すと、感染してみんなが重症化するわけではない、と言えますね。 でも、今回の不顕性感染が明らかになったということは、既に、国内にも数十人、数百人、もしくは数千人の規模で2019nCoVに感染者がいる可能性もあるということです。 正確な情報の収集方法ですが、DiamondBar さんや真打ちさんは、NHKや新聞、医療機関などがあげられました。ワイドショーのコメンテーターは、専門家ではないような気がする、との意見もありました。私も最近は、マスコミの内容が気になり、報道や説明の方法、客観的事実の正確性を観ていますが、中には、首を傾げたくなる専門家と自称する方もいることは確かです。自信満々にコメントされていますが、私の心の中では、「まだそこは、わかってないだろう」とツッコミたくなる内容もあります。 まだ、わからないことを正確に説明し、わかっている事実を述べる。そして、抽象的にならずに、理解しやすい表現で説明する。これが重要ですよね。 やっちゃん24さんのように、必要物品をすでに用意している、日ごろからの危機管理という意見がありました。まさしく、その通りです。 みなさんから多くの質問もいただきました。 Lily27さんから、子どもへの感染予防策は?という質問です。 2019nCoVは、インフルエンザウイルスと同じような感染様式です。ウイルス構造もインフルエンザウイルスに似ているので、同様の消毒方法が良いとわかっています。飛沫感染対策としては、マスクで他人に感染させない、他からもらわない(もちろん100%ではありません)、接触感染対策として、石鹸と流水、もしくはアルコールでの手指消毒。不特定多数の方が集まる場所、換気が悪い場所に、長時間滞在しない。これが、重要です! 特に小児の場合には、汚染された場所に触れることによる接触感染は多いです。こまめな手指消毒は重要です。中国では、すでに1歳以下の乳児への感染も確認されています。まだ、小児の臨床経過のまとめは報告されていません。 2kishir0さんからは、もし感染が疑われた場合、もしくは感染した場合の対応は?という質問です。 2019nCoVに感染した可能性が高い場合には、速やかに地域の保健所に連絡して、指示を受けてください。直接、何の連絡もなく医療機関に行くとパニックになる可能性があります。まずは、保健所に、感染を疑った理由を説明し、指示された医療機関を受診してください。 nekosaurusさんの質問で、野放しになっている不安をあおるメディアの規制についてです。 残念ながら、現在、法律上、メディア規制はありません。2009年の新型インフルエンザ発生時にも同様のことが問題になりましたが、新型インフルエンザ等特別措置法にも、メディア規制の法的根拠はありません。あくまで、厚労省や内閣官房が、マスコミに対して丁寧に説明をして、正確な情報を流すようにお願いするしかありません。 黒船さんは、全般的な感染予防についての質問です。手指消毒は、常に携帯することは有用です。実際、病院では、感染症医は、ポシェット型携帯手指消毒を持ち歩いて、気づいたら手指消毒を行っています。うがいができないときは、お茶を飲んで洗い流すと有効と説明する医師もいますが、これは、科学的エビデンスはありません。ウイルスと細胞の吸着力と吸着後、細胞内に移動するスピードを考えると、有効性は?です。しかし、理論上、物理的に洗い流して胃酸で消毒する、を考えると、有効性も一理あります。 室内では、適切な室温と湿度が推奨されます。23~26度、50~60%程度がよいと考えられています。咽頭や気管の乾燥を防ぎ、生体のもつ繊毛運動を活発にしてウイルスの細胞への吸着を防ぎ感染を予防することから、適切な室温と湿度が推奨されています。感染が疑われた場合、何をもって判断するか?については、正直、はっきりわかりません。風邪なのか、インフルエンザなのか、2019nCoV感染なのか、臨床症状で説明することは不可能です。インフルエンザ患者との接触歴、家族内での発熱患者の有無、不特定多数の方との接触歴、観光客の多い場所の出入り、職業、日々の生活様式を考え、まずは、インフルエンザ迅速診断検査を行います。陰性の場合には、まだ、発生報告のない地域なのか、もしくは数名の発生報告のある地域なのかで、大きく異なります。疑った場合には、呼吸器症状の推移を観察しなければなりませんし、咽頭ぬぐい液を採取して保健所への報告となっていきます。 Jerrybさんは、受診の目安を質問されています。小児での臨床経過は、依然として報告がないため、どの程度呼吸器症状が強くなるのか、神経合併症が起こり易いのか、は不明です。ただし、もし、感染が疑われた場合、体力があれば、受診するよりも家で寝ているというのは、現状では勧められません。現在では、依然として国内での発症者が少ない状況ですので、感染を起こしているのか?起こした場合、どこから感染を受けたのか?を報告する必要があります。さらに、日本人での臨床経過はまだ不明です。インフルエンザ脳症はアジア人、特に日本人に多いなど、遺伝的な要因による病原性の違いもあります。まずは、医療機関での治療と経過観察が重要です。 Tosukuさんは、海外のマスク事情を質問されています。 2009年の新型インフルエンザ発生時も、アメリカやドイツでは、ほとんどマスクをしていませんでした。マスクの文化はなく、さらにうがいの文化もありません。 ぺこりんさんは、この円卓会議で説明している感染予防は、他の感染対策にも有効なのでは?との質問です。まさしくその通りです。飛沫感染、接触感染の場合には、インフルエンザやノロウイルス対策を考え実行すればいいのです。ウイルスは、目に見えませんが、予防が聞かない病原体でもありません。 今回は、2019nCoV感染症、新型肺炎を扱いました。これから、流行が大きくなることは必至です。みなさんには、賢明な行動と十分な備えをお願いします。感染様式は、インフルエンザと同じであることを思い出し、換気の悪い、ヒトが密集した場所にはいかない、できる限り避ける、手指消毒とマスクを心がけてください。 2019nCoVの状況が変化した場合、また、円卓会議で皆さんと色々議論して、解決策を考えていきましょう。 1週間、ありがとうございました。★田村議長の過去の円卓会議より・インフルエンザ、今年かかりましたか?・地域の感染症情報、気にしていますか?・ノロウイルス感染症に備えていますか?
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