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会議番号:3588 開催期間 2020年03月27日- 04月03日
みなさま、最終日の投稿をありがとうございます。有事の際の「副作用に注意すべき薬剤の認可外使用」については、臨床現場と国でも、いろいろな意見があります。 国内の医療行為で、かつ保険医としての診療となると、通常、保険診療で認可された範囲内での医療を行われなければなりません。診断した診断病名に対し認可された薬剤選択を行い、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が認めた方法、期間を守って使用します。一部、認可外の薬剤や期間を逸脱することもありますが、その場合には、自施設内の倫理委員会の承認をもらう必要があります。 すべて自費診療で行うとなれば、認可外の薬剤や検査など、なんでも希望通りに行えますが、医療費が高額になりますし全員が選択できるような状況ではありません。 治療の最前線で働いていると、表現はよくないかもしれませんが、「藁にもすがる思い」という状況に何度も遭遇します。副作用の問題や有効性がはっきりしないなどで国内で認可されていない薬剤でも、海外での有効性の症例報告があったり、計算上、理論上、効果が予想される場合、緊急輸入して何とか使えないものか?と。 こういった薬剤の使用については、ご家族への説明後、倫理委員会での話し合いになりますし、皆さんがコメントされている通り、患者さん本人やその家族に、良いこと、懸念されること、全てを説明し同意を取ることが絶対条件です。さらに、医療施設としては保険診療で賄えなくなるので赤字を覚悟しなければなりません。経営を無視しても、患者さんの命(少しの可能性)を最優先にします。 今回のアビガンでも、中国や国内の一部の報告で有効性が報告されている、とあります。通常新薬の認可には「治験」といわれる統計学的に厳密な方法によって評価されるべきですが、このような有事の際には、時間も人も制約があることから、通常の治験は不可能です。ある程度、勢いで評価しなくてはなりません。使ってみて効くかどうかを判断する、という状況です。アビガンも、効くかどうかわかりませんが、使わないで後悔するより使ってみて、理論上は効果が見込めるから、という考えで国内での使用が始まっています。もちろん、重大な副作用のことを含めた説明も行われているはずです。 黒船さん、あきんぽさん、真打さんは、DiamondBarさんも、医師からの十分な説明と同意は必要としながらも、使用については前向きなコメントでした。JIMAさんも、年齢での制限はありますが、使用に前向きですね。今回みなさんの意見を伺うと、「藁にもすがる思い」があるかと思います。 私は、臨床を行う上で、常に自分だったら、自分の家族だったら、という考えを持ちます。自分だったら、この薬剤を使いたいか?家族だったらこの治療は希望するか?もちろん、これは主観なので、この後、施設内の倫理委員会で最終決定を行いますが、主治医としての基本の考え方は、自分・身内だったらどうするか、です。 今回は、アビガンでの議論でしたが、今後の流行の拡大や重症化により、他の薬剤の使用も検討されるかもしれません。そんな時、もし、自分が、身内が、使用について主治医から提案されたとき、有効性ははっきりしないものの理論上有効かもしれない、といった難しい状況であるならば、副作用のリスクを含めて決断してください。 今回の円卓会議では、皆さん全員の投稿に返信できなかったことを大変申し訳なく思います。 2か月前の状況に比べ、パンデミックは起こしていないものの、徐々に感染は拡大しています。東京では、病床数不足と医療関係者の欠勤の問題が起き始めております。 そんな中、本円卓会議にコメントくださり、1週間お時間を共有できたことは、非常にありがたかったです。 報道、検査、治療など、皆さんが思っている不満は大きいことは理解します。でも、しっかり準備して対処するような問題ではなく、日々、新たに起こる問題に手探りで突入せざるを得ない状況であることもご理解ください。 1週間、お時間いただきましてありがとうございました。★同時進行した<働く人の円卓会議>「コロナ感染拡大。生活への経済的打撃、大きいですか?」(議長:佐々木かをり)もあわせてお読みください。★田村医師への取材・講演などお問い合わせは ・取材の場合は、こちらから ・講演などの場合は、こちらから ・テレビラジオ出演の場合は、こちらから★田村議長の過去の円卓会議より・中国の新型肺炎。気になりますか?(2020年1月実施)・地域の感染症情報、気にしていますか?・インフルエンザ、今年かかりましたか?
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