会議番号:3646 開催期間 2021年06月25日- 07月02日
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会議番号:3646 開催期間 2021年06月25日- 07月02日
沢山のご意見、ありがとうございました。まず、81%の方がワクチンに不安がある、と答えられています。
これは当然なことです。
短期間に海外で開発製造承認された人類初のmRNAワクチン※です。国内でも、厚労省は迅速承認し、異例のスピードで接種が行われております。
(※正確には、エボラウイルスワクチンが、人類初のmRNAワクチンですが、現在まで、ほとんど使用されていません。)
みなさまからのご意見をいくつかのカテゴリーに分けて、議論したいと思います。
■ワクチン開発や承認への不安
UNAUNAさんや2kishir0さんは、ワクチン開発や承認への不安をコメントされています。一般的なワクチン開発には、10年もしくはそれ以上の時間がかかりますが、今回のmRNAワクチンの開発は、1年で行われました。それも、私たちに馴染みのないmRNAワクチンとして。
ただ、Modernaにしても、Pfizer/BioNtechにしても、他の病原体に対するmRNAワクチンの開発は行われていたことから、製造過程で一部のplatformが存在した状況での新型コロナワクチンの開発でした。たまたま製造でき商品化された、という訳ではなく、開発されるべくして開発されたmRNAワクチンであったと思います。
日本国内の承認ですが、国内の日本人での有効性・安全性のデータはなく、海外で行われた治験結果を用い審議されました。そのため、日本人での有効性が、海外の治験結果と同じでよいのか?については、疑問があります。日本人の有効性・安全性は、日本人で治験を行わないと明らかではありません。遅ればせながら、2021年6月、厚労省は、日本国内の有効性を調査するため、1500人規模で研究を開始しています。
国産ワクチンの開発承認ですが、大阪大学/アンジェス(DNAワクチン、第II /Ⅲ相試験中)、第一三共(mRNAワクチン、第Ⅰ/II相試験中)、塩野義製薬(組み替え蛋白質ワクチン、第Ⅰ/Ⅱ相試験中)、KMバイオロジクス(不活化ワクチン、第Ⅰ/Ⅱ相試験中)が、国内で治験を行っております。今後、mRNAワクチンと同等の安全で有効性の高い国産のワクチンが商品化されるのか?については、全く未知数です。mRNAワクチンの安全性はともかく、有効性95%は、驚愕的な高さであることは間違いありません。
■副反応への不安
サチコさんは、mRNAワクチン接種後の将来的な副反応を懸念されています。mRNA単体ですと、体内では数秒から数分で分解されてしまうので、mRNAワクチンでは、短時間で分解されず、かつ細胞内に取り込まれるように、脂質ナノ粒子(LNP)によってコーティングされています。細胞内に取り込まれた後、mRNAは、LNPから放出され細胞内でウイルスの表面蛋白であるSタンパクを製造し、体内の免疫細胞にウイルスのSタンパクを認識させ、免疫をつけます。細胞内に放出されたmRNAも長時間残存しないため、ワクチン由来物質が、将来的に体内で影響を及ぼす可能性は低いと考えられますが、今後の免疫産生能や時間経過とともに起こる反応を評価していく必要はあります。
Abbyiさんは、血栓症についてコメントされています。AstraZenecaと血栓症については、2021年4月にアメリカのNew England Journal of Medicineという権威ある雑誌にmRNAワクチンと血栓症の関係とした論文が報告されました。血栓症を誘発する機序としては、血小板の活性を高める抗体価がワクチン接種後に高まったため、ということです。今後も、規模の大きなデータが出てくると思いますので、より正確な評価がされると思います。
新型コロナ感染者のワクチン接種の必要性ですが、現在、厚労省は、新型コロナウイルスに罹患した場合であっても、希望があればワクチン接種可能としております。一方で、New England Journal of Medicineには、新型コロナウイルスに罹患したことにより、ワクチン1回目と同等の免疫賦活効果、つまり、基礎免疫反応が起こっており、1回目のワクチン接種で追加免疫ができる状態になっている、と結論づけられていました。
また、副反応は、入院するような重大なものはないようですが、罹患後ワクチン接種をした方の方が、頻度は多いと報告されています。この論文では、本当に罹患後のワクチン接種は1回でいいのか、という問いには結論が示されていません。引き続きの調査が必要としており、国内でも、今後、同様の研究調査を行う必要があります。罹患後のワクチン接種の回数の結論は、まだ先になります。
令和3年6月23日に開かれた第62回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年第11回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会では、令和3年2月17日から令和3年6月13日に報告された死亡事例が277件、令和3年6月14日から令和3年6月18日に、医療機関または製造販売業者から死亡報告された事例が78件でありました。
277件の死亡報告をワクチンとの因果関係を部会専門家で検討議論した結果、ワクチンと死亡の因果関係が否定できないものは0件であり、ワクチンと死亡の因果関係が認められないものは5件、さらに、情報不足でワクチンと死亡の因果関係が評価できないものが、275件でした。
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000796557.pdf
えこりんさんが述べられている通り、情報不足で評価できない、となると、説明が足りない、と思われても当然かと思います。
ワクチン接種後の予期しない反応には、予期しない現象を最大限捉えるための「有害事象」と、より細かくワクチンとの反応を疑う「副反応」の2種類があります。副反応としては、接種後熱がでた、接種部位が腫脹した、全身倦怠感がでた、などです。接種会場で転んだ、帰りに交通事故にあった等でも、ワクチンとの関連を疑い有害事象として報告される場合があります。これら予期しない反応が、ワクチンとの関係に認定されるための審議会では、患者既往歴や基礎疾患、ワクチン接種時の状況などと共に議論されますが、患者情報は圧倒的に不足するので、判定保留や、因果関係が否定できない、といった症例がかなり多くなり、ワクチンとの因果関係が明らかとなる症例は非常に少ないです。
これは、厚労省や専門会会議の部会が、ワクチンの副反応を認定しないようにしよう、というわけではないことをご理解ください。
※一般的に医薬品を使用するとどうしても、一定の頻度で副反応が出ます。そのため、副反応が出たこと自体について、特定の人物や団体が責任を問われることはありません。接種量を間違えたとか、接種部位を間違えた、と言った場合は個人の責任が問われる可能性がありますが。予防接種によって生じた健康被害に対しては『予防接種健康被害救済制度』という国による救済制度で対応していきます。
■有効性への不安
現在、WHOは、感染力が高まりワクチン効果が下がるなどの性質の変化を持った4種類の変異ウイルスを、今後、流行拡大が「懸念される変異株」として、国際的に警戒しています。
N501Y変異のアルファ株(イギリス型, B.1.1.7)
N501Y、E484K変異のベータ株(南アフリカ型, B.1.351)
N501Y、E484K変異のガンマ株(ブラジル型, P1)
L452R、E484Q変異のデルタ株(インド型, B.1.617)
現在使用されているワクチンは、野生株である武漢型から作られているため、ウイルス遺伝子に変異が入るとその設計図で作られるウイルスのSタンパクも変化し、体内で作られた抗体の効果が低下する懸念があります。Lindenさんが懸念している通りです。
アルファ株(イギリス型, B.1.1.7) |
ベータ株(南アフリカ型, B.1.351) ガンマ株(ブラジル型, P1) デルタ株(インド型, B.1.617) |
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発症予防効果 | 感染予防効果 | 発症予防効果 | 感染予防効果 | |
Pfizer/BioNtech | 91% | 86% | 81% | 77% |
Moderna | 94% | 89% | 83% | 79% |
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