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会議番号:3666 開催期間 2021年11月26日- 12月03日
コロナウイルスのオミクロン株の広がりで、原油価格は一気に下落しましたが、世界的なインフレ傾向は変わっていません。日本では石油や小麦、砂糖など国際的な商品の値上がりに加えて円安で、いろいろな商品の値上がりが目立つようになりました。しかし、賃金のほうはなかなか上がりませんから、「この状態でインフレが加速すれば、日本は立ちゆかなくなる」(黒船さん)のは明らかです。 来年の春闘に向けて、連合は4%、政府は3%などの賃上げの数字を出し始めましたが、企業の景況感が好転しなければ、政府が賃上げの旗を振っても、「それに対応できる企業は限られる」(パフィンドーナッツさん)にも明らかです。 そうなると、「他の先進国に比べて安い賃金も低物価だから生活できたこと。ますます生活に困る人が出ることを懸念します」(DiamondBarさん)、「賃金が上がらないままに物価ばかりが上がったらもう生活して行けません」(ニライカナイさん)など、この「働く人の円卓会議」からも、心配する声がわきあがっています。 物価が上がれば景気が冷えて物価は下がる、これが通常の経済現象ですが、景気が停滞しているのに物価が下がらない現象を「スタグフレーション」と言います。この言葉が生まれたのは、産油国のカルテルによる原油価格が高騰するなかでインフレが進んだ1970年代でした。第1回先進国首脳会議が仏ランブイエで開かれたのは1975年で、スタグフレーションに悩む先進国の首脳が集まり、その対策を考える試みでした。 ランブイエ宣言に盛り込まれた対策の第一は、保護主義を排しての貿易の拡大でした。関税の引き下げなどによって貿易を拡大することで、世界的な不況乗り切ろうとしたのです。半世紀後のいま、世界は「サプライチェーンの強靭化」という名で、部品の海外依存度を下げて自国での生産を高める動きです。これがコストを高める要因になるのは、環境対策と同じかもしれません。「インフレは格差を拡大する恐れがある」(blueberry53さん)とすれば、「バランスの崩れた社会にしないようなイノベーションが求められている」(同)ことになります。 石油価格の値上がりから見えてきたインフレに対抗するのは、利上げなどの対処療法ではなく、イノベーションによる体質改善ということでしょう。そのための成長戦略を岸田政権がどれだけ実行できるか、注視していきたいと思います。この1週間、石油価格をめぐる経済論議に参加していただき、ありがとうございました。
★高成田議長の過去の円卓会議より
・自民党、変わると思いますか?
・震災から10年、教訓を生かしていますか?
・米中貿易協議、注目していますか?(2019年12月)
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