イー・ウーマン（ewoman）

カウンセラーとして（ともとも16・群馬県・42）

多くの発達障害の人たちと出会います。やはり障害と言うと抵抗感がありますので、「特性」という言葉を使っています。でもそれが軽い意味と捉えられて誤解を招くこともあります。障害という言葉を使用しないで言える言葉あると違和感がなくなります。福祉施設｢発達障害支援センター」という名前は良くないと思っています。

くくる必要性が見いだせない（Zonnetje・海外・その他・38）

他の方々の投稿にもありましたが、「害」という字に違和感・抵抗があります。発達障害といっても様々な症状があり、その症状を1単語でくくる必要性があるのか疑問に思います。一般人が発達障害に区分されるすべての症状を把握するのは難しいですが、「発達障害」あるいはそれに代わる用語を耳にしたときに、違う症状を想像してしまうのも困りものかと思います。ADHDはそのままADHD,アスペルガーならアスペルガーとそのまま使うことは無理なのでしょうか。

違和感はありますが（かえで９９９・東京都・50）

神経発達症という名称ではなんのことだか判りません。 「障害」という表記は当用漢字の制定によって生じた書き換えによるものなので、本来の「障碍」という表記を積極的に使ってはどうでしょうか。現在の常用漢字は当用漢字のように制限ではなく、目安でしかないので表外漢字を使用することに躊躇することはないと思います。昨今では新聞なども表外漢字でもルビを振るなどして、交ぜ書き廃止の方向です。むしろ、「障がい」などという交ぜ書きはやめるほうが良いと思います。

子どもを守れる名称なら（aki0014・東京都・41）

子どもが広汎性発達障害。現在は落ち着いていますが、幼少期は保育園や学校の理解を得るのに苦労しました。わが子が「disorder」であるのを受け入れるまでに私自身の抵抗もありました。本人の状態を的確に理解し、本人の意図ではない、発達や感覚のアンバランスによる周囲との不適合、という状態を緩和・改善するには、ある程度インパクトがある名称でないと、大人の「指導」という名の攻撃から子どもを守れないと感じます。

周りの反応が（綾ooo・東京都・36）

私自身違和感はないので、NOにしています。小1の子どもが注意欠如多動性障害の疑いで通院しています。病院や担任の先生と話していても特別違和感はありません。ただ、夫に話したときに最初は”えーっ”という反応だったので、周りの反応を考えると診断名を変えるのもよいと思います。私の直感的感想ですが、”神経発達症”の方が、”発達障害”よりイメージが悪く思いました。”神経発達”のイメージが分かりにくいです。

私は「障碍」を用いています（yono・大阪府・45）

支援級に在籍する子どもを持つ親です。子どもがその「個性」への理解を得られず不利益をこうむる場面も現実にあることを思えば、個性だとぼかさずにはっきりと障碍（本人が困っているという意味での）とするほうが、より周りの理解も得やすいのではと感じます。そういう意味で、「神経発達症」という言葉を新たに用いようということには、せっかく発達障碍（障害）という言葉がそれなりに認知されつつあるのに、脳機能の障害という面が逆にぼやけてしまうように思います。

１５才、長男が重度自閉症です（かくちゃん・三重県・49）

障害名には違和感はありません。時間があれば、なるべくたくさんのことを本人に教えてあげる時間に費やしたいと思います。「障害」という表現を非常に気にされる学校関係者、役所、医師もありますが、障害を受容出来た保護者は、表現だけにこだわっていることは稀だと思います。それより障害を持ってでも何とか生きていける社会、を希望していると思います。都内ですとヘルプカード利用者増えるなど。こいういった事は国政策でやってほしいです。

当事者の気持ちを思うと（Ai・兵庫県・40）

「障害」といわれる当事者の気持ちを思うと、辛いものがあります。他の人よりも少し多くの支援を必要としているだけなのですから、支援の必要な内容に応じて「聴覚支援必要症」「視覚支援必要症」「学習支援必要症」としてはどうでしょうか。この言葉でも、当事者の方の気を悪くする表現だという指摘があれば申し訳ないと思っています。

名称は単なる問題の入口論（blueberry53・大阪府・57）

障害という言葉に反発される方は、「害」という言葉を使われる身になって考えてみなさいと言う批判されます。ただ、もし、仮に、「害」という言葉がなくなれば、すべて良くなるでしょうか。もしかすると次は「症」という言葉は病気だと感じされると言い出すかもしれません。言葉の議論が出てきた時は、その言葉を使い続けても問題のないような社会ではない現実を、どのように変えていくか考える必要があると思います。名称という入口論だけでは本当の解決は見えてきません。

「症」だと広すぎる印象があります（mieuxxx・神奈川県・44）

「神経発達症」と聞くと例えば「あがり症」、「神経質」という風に、性格的なもので鍛錬すれば治せるものという印象を受けました。「害」ではなく「碍」「がい」を使うという形で、害がある、悪いという印象を変えるという方もよくいらっしゃいますが、私にはそのほうがしっくりいきます。

私たち日本精神神経学会の議論では、「症」の使用については、大きな反対もなくより受け入れやすいという印象を持っていましたが、皆様からは、違和感があるという意見をいただきました。
表記法の工夫は必要だが「障害」をそのまま使用する方がよい、そして発達障害のお子さんがいる複数の保護者の方からは、「障害」と呼んだほうが周囲から子どもを守れる、という意見をいただいたことは、非常に印象的でした。
 
英語で“neuro”（「神経」という単語が加わって訳語が「神経発達」になることについて解説させていただきます。長い時間をかけて専門家が議論したことですが、発達障害は、神経学的・生物学的要因が背景にある、つまり育て方などの環境要因が主たる要因ではない、ことを明確にしたものです。発達障害の要因が「神経発達の不具合」であることを認識することが支援のスタートです。“aki0014”さんの言う「指導」という名の攻撃、が、本人にとって苦痛であるのかを、科学的側面から啓発しやすくなると考えています。
 
医学用語では、急性脳症、認知症など、診断名も多く「症」が用いられています。しかし英語表記は、それぞれacute encephalopathy,　dementiaであり、「症」に相当する部分はdisorderではなくさまざまです。精神科診断名である“disorder”を一律に「症」と訳すことには、精神科医の中でも異論が出ています。
 
用語も慣れの問題があります。例えば「・・・でよろしかったでしょうか？」という表現には当初違和感を持っていましたが、過去形の意味ではなく確認を意味する“商業敬語”としてマニュアル的に使用されることもあるということで、あまり気にしないようにしています。言葉や漢字表記も、別の一面からのとらえ方をもとに、少しずつ変わっていくこともあるということは受け入れざるを得ないのかもしれません。児童青年精神医学会案には、『「症」は単なる症候群や症状であって障害者という意味を含まない広い概念である』という説明がなされていますが、皆様の中にはより強く「病気」をイメージされる方が多いのかもしれません。
 
日本精神神経学会は、今回の訳語について、新旧両病名を含めて複数の訳語を提示すること、用語は変化しうるもので訳語も変わることもある、という方向性を示しています。

新旧両病名表記、さらに新しい病名が加わったり変更されたりすること、皆さんはいかがお考えですか？　他に何か必要なこと、よい方法はありますか？
ご意見をお待ちしています。



★古荘議長過去の円卓会議より
・暴力的な行為を受けた子どものケア、できますか？
・子どものいじめ、気づくことができますか？
・子どもがキレる。対応できていますか？

• 2013.09.11
• 古荘純一 青山学院大学教授、小児精神科医