イー・ウーマン（ewoman）

全部受け止める（みやび屋・東京都・40）

褒めるという意見がありますが、褒めるというよりも、いいところもダメなところも受け止めてもらえたかどうかが鍵なのではと感じています。娘のいいところはどんどん褒めていますが、一番表情が変わるのは、娘の話を娘に寄り添って聞いたときです。20歳前後の学生と接することもありますが、やはり褒めるというよりも、いいところもダメなところも全部受け止めてあげられると笑顔が増えていくのを感じています。

わが家の場合ですが……（mami-panda・46）

中2の息子が部活中の事故で同級生に怪我をさせてしまったのですが、「おまえみたいな価値のない人間が優秀なアスリートにけがをさせるなんて」と部外者から叩かれ、怪我をして帰宅。「俺も友達から価値があると思われる人間になりたい……」と自室で泣いていました。怪我より「価値のない人間」と言われたことにショックを受けた様です。普段は息子を褒めたりしないのですが、親として「とても大事に思っていること」や息子の良いところを伝え、「価値のない人間なんていない」ことを話しました。

褒める＆認める声掛けをする（banana5・神奈川県・37）

大変興味深いテーマです。レジリエンスという考え方、勉強になりましたが、大人でも同じではないかと思いました。子どもに対しては、褒める、認める声掛けをすることが大事だと思います。子どもの言動を見ていると、ちょっとしたことでも大人（自分）目線で「ふうむ面白いな」と思うことが。「できたかどうか」「出来のレベルがどうか」だけでなく、「面白い」といった点でも、どんどん子どもに声掛けし褒めて、認めてあげるコミュニケーションをとると良いのではないかと思います。

失敗したときこそ（Ai・兵庫県・41）

私は、うまくできたとき、いい点をとっただけ褒めるのではなく、だめだったときにこそ、その子なりの努力やプロセスを褒めること、悪いことをしたときにも、行為は叱っても人間性は認めることが大事だと思っています。うまくいっているときの自分だけじゃなく、だめなときの自分も丸ごと認めてもらえることで、失敗を恐れずチャレンジしていける自信がつくのだと思います。

寄り添う（IZUMI・鹿児島県・41）

こどもが自信を無くしているな……と感じるとき、なるべくそばにいます。話したい気分になった時を逃さないように。そして、全部吐き出してくれたら、アドバイスできそうならするし、自分で考えさせたほうが良いようなら、どんな選択をしても見守ってるし、母は一番の理解者でありたいと伝えます。

「世界中を敵に回しても」（ユリイカ・東京都・41）

自尊感情の低い16歳の娘には、事あるごとに「たとえ世界中を敵に回しても、両親だけは貴女の味方。なぜなら私たちの娘だから」と繰り返しています。「大袈裟だなぁ」と笑われるのですが。「何があっても十分に愛されている。親だけはいつもそばにいて守ってくれる」という感情こそが、ときに傷つく子どもを守ってくれるのではないでしょうか。

親ではない立場で（walk714・海外・その他・39）

受験に失敗し、自信を無くしていた時、親なりに励ましてくれていたと思うが、私にとってはプレッシャーでしかなかった。親ゆえに子どもの状況が見えなかったと思う。他人は他人、自分は自分と自己卑下しない性格で来られたのは、親以外の大人が褒めてくれたから。謙遜の美徳ゆえ親が子を人前で褒めることが日本では少ないと私は思う。もっと頑張りなさい。現状に満足するな。身近に子どもはいないが、子どもと接する時は褒めるように心がける。年齢問わず、否定的なことを言われて良くなることはないので。

親だから難しい（isabel86・愛知県・49）

中3の娘は思ったことには積極的に挑戦するタイプでしたが、中1の時に部活の友達とトラプルになり、またその子が同じクラスであったため、部活やクラスで浮いた存在になり、つらい思いをしました。今は分かり合える友達も多く、楽しく過ごしていますが、それ以降、他人の出方を見てから行動する、消極派に。いいところはどんどん誉めるようにしていますが、「それは親だからでしょ」と冷めた言葉が返ってきます。近くにいる親だから、余計にどう誉めるのかが難しいと思います。

単に褒めるだけでなく、一歩踏み込んだ具体的なご意見をいただきましてありがとうございます。「褒めるというよりも、いいところもダメなところも全部受け止める」（みやび屋さん）「『出来のレベルがどうか』だけでなく、『面白い』といった点でも、どんどん子どもに声掛けし褒めて、認めてあげる」（banana5さん）「悪いことをしたときにも、行為は叱っても人間性は認めること」（Aiさん）など参考になります。
 
子どもを元気づける対応の前提として、①幼児期には自尊感情を把握できるが、大人は気づきにくい　②乳幼児期からの養育者の一貫した関わりがその基本である　③虐待体験など生育歴に問題のある子ども、発達障害など自己認識に障害のある子ども、神経質・内向的などレジリエンスが不十分である子ども、などは可能であれば専門家とも相談し、個別の対応法を考える、ことです。
 
自信があるなしは、関わる大人が決めるものではなく、子ども自身の主観的なことです。
子ども自身が、自分の言動が、肯定的（能動的）と感じることが出来れば自尊感情が育まれていきますが、逆に否定的（受動的）と感じ続ければ自尊感情が下がることになります。
 
肯定的な出来事を増やして、否定的な出来事を減らす、これを日常的に継続することがポイントです。肯定的な出来事だけでなく、叱られるなどの否定的な出来事も必要ですが、現在の日本の子どもには、否定的な出来事が多いと考えています。そのバランスを考えると、３：１くらいが望ましいのではないでしょうか？
 
子どもにとって、肯定的な出来事と否定的な出来事をいくつか対比させてみました。これを参考に、肯定的な出来事を増やす関わりを心がけていただくことが、個々の子どもを元気づけるヒントになるでしょう。大切なことは一時的・表面的ではなく、子どもの人間性を尊重した継続した関わり方だと思います。
 

• 2014.11.14
• 古荘純一 青山学院大学教授、小児精神科医