働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3318 開催期間 2014年11月14日- 11月21日
今回は消費税増税を含む、社会保障・税一体改革とは何かをわかりやすく見てみたいと思います。下の図表は、消費税率を10%に引き上げるいわゆる社会保障・税一体改革の受益と負担を示したものです。 消費税率を5%から10%へ引き上げると、14兆円の財源が得られます。その使途の内訳は、社会保障を充実させるために使う分(以下「充実分」)と、これまで社会保障が赤字国債でファイナンスされていたものを税財源に振り替えるという社会保障の安定化分(以下「安定化分」)に分けられます。 「充実分」は2.8兆円で、その内訳は、子ども・子育ての充実で0.7兆円、医療・介護の充実で1.5兆円、年金で0.6兆円となっています。一方、「安定化分」は11.2兆円で、その内訳は、基礎年金の国庫負担(税金による負担)割合を、3分の1から2分の1に引き上げるための3.2兆円、後代への負担のつけ回しの軽減として7.3兆円などが計上されています。 この「安定化分」は、赤字国債から税財源に振り替わるだけなので、国民の受益にはならないという見解があります。しかし年金国庫負担を2分の1に引き上げるための財源である(3.2兆円)は、すでに国民に還元されているので「受益」と考えてもおかしくはありません。 また、赤字国債の後世代の償還(負担)を先送りすることなく現役世代が負担することは、後世代の負担を軽減することになり、世代間の不公平の解消に役立つものです。 このようなことを前提として、今回の増税による増収分とそれを財源とした社会保障の増加分を、ミクロ的に家計に割り振って、内閣官房の試算である「世帯類型別の受益と負担について」を使い計算をしてみたのが、下図です。 ◆【図表】世帯類型別受益と負担額(消費税率10%への引上げ分) この表の△のラインは、「安定化分」は含めない「充実分」だけで、「負担増」と「受益」をネットで比べたものです。これを見ると、多くの世帯でマイナス (負担超過)となっていますが、30代の子育て世帯のマイナスは小さくなっています。 ○のラインは、「安定化分」も受益と考えて、「負担分」に加えてネット受益を計算したものです。これを見ると、20代単身男性や30代夫婦、50代夫婦世帯のネットの受益はマイナスですが、それ以外の世帯ではネットの受益がプラスになっています。とりわけ、30代の子持ち世帯の受益は大きくなっています。 また、高齢世帯の受益は小さくなっています。 受益の額が、高齢者と単身世帯に相対的に少なく、勤労者に多い、とりわけ子どもを持つ世帯に多い、これが社会保障・税一体改革の姿であると言えましょう。 社会保障・税一体改革の趣旨は、社会保障の受益を高齢世帯から若年子育て世帯にシフトさせることで、そのような意図が見て取れるのです。「負担面」だけを強調して、短期的な景気動向から先送りするのではなく、「受益」も含めて社会保障・税一体改革の姿や意義を改めて考えてみることが必要ではないでしょうか。DiamondBarさんやmayupyonさんのご意見は、そのような流れにあるものと思われます。 わが国の中長期的な改革の話を、7-9月のGDPという短期的な情報だけで先送りしていいのでしょうか。みなさんの率直な意見をお寄せください。★森信議長の過去の円卓会議より・消費税8%。価格は、総額表示がいいですか?・女性の社会進出のために配偶者控除を廃止し、財源を子育てに使うことに賛成ですか?・消費税の「軽減税率」導入、賛成ですか?
イー・ウーマン
表参道カレッジ
eshop
©2014 ewoman, Inc.