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会議番号:3359 開催期間 2015年09月04日- 09月11日
オリンピックには素晴らしい効果があります。世界に感動と共感を与え、頂点を目指すアスリートや競技団体の目標であり、競技場建設から宣伝まで、すそ野広くお仕事の場を創り出す。出演料ゼロで選手が参加し、広告収入や放映権で競技団体は潤うのですから、興業として最高のビジネスモデルでしょう。 近代にオリンピックを蘇らせたのはフランスのクーベルタン男爵と言われますが、たいしたものです。 アマチュア精神から始まった五輪は、ヒトラー率いるベルリン大会で「民族の祭典」となり、戦争を経て「平和と復興の象徴」、やがて「商業主義のお祭り」へと進んでいきました。 今回の投票で6割以上の人が「NO」と回答したように、多くの人々の目に「競技者から離れた巨大ビジネス」と映るようになっています。第五代目IOC会長のブランデージさんはこう言ったそうです。 「オリンピックは世界一の競技者を決める場ではない。世界一を競うなら競技ごとに世界大会がある。オリンピックは、オリンピックという大会の場での勝者を決めるイベントだ」 主要競技をオールインワンで行うところにオリンピックの興業としての魅力がある、というわけです。ブランデージさんは1952年から72年まで20年間、IOC会長を務めました。陸上競技の選手からIOCの実力者に上り詰め、五輪の拡大と商業化を進めました。遺品でサンフランシスコに美術館が建ったという裏話もあります。一介の競技者が、有名な美術品のコレクターになれるほど、五輪とIOCの危うさはこのころから問題になっていました。 誘致に絡む不透明な動き、税金の浪費、根の深い問題はそのつど指摘されていますが、開催地が持ち回りという事情もあり、教訓は共有されません。宴の後に何が残るか。「不都合なこと」は表に出ないまま、次の開催地へと闇は先送りされてゆく。 万事物事には生成・発展・崩壊、そして再生という循環があります。オリンピックは今どのあたりにあるのでしょう。 「猛暑の東京五輪」は、無理な大会運営を露呈する場になるように思えます。建設費の高騰、財政への過剰な負担は、これから開催地に手を上げる都市を委縮させるでしょう。 2020年が迫れば、世界の眼は東京に注がれるでしょう。おもてなしの国・日本が注目される反面、首相が言った「アンダーコントロール」の実態も世界にも伝わるでしょう。垂れ流されている放射能汚染水や故郷に帰れない多くの人たち。日本に住んでいるとあたりまえのことでも、外国メディアによって「異常事態」と喧伝されるかもしれません。東京大会はこれからが大変です。「なんの為のオリンピックか」。改めて考える機会が訪れるでしょう。 クーベルタンの理想とかけ離れてしまったオリンピック。再生するには一度壊れることも覚悟する必要もある。東京はその節目になるような気がします。★山田議長の過去の円卓会議より・本土の人は、沖縄に冷淡だと思いますか?・朝日新聞、廃刊にしますか?・安倍首相の外交、支持しますか?
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