働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3377 開催期間 2016年01月29日- 02月05日
10代を予期せぬ妊娠と出産から守るための、真剣で深慮されたご提案をありがとうございました。多様な視点を多様な立場の皆様、保護者やユースワーカーの皆様と協議することの重要性を再確認しました。 この円卓会議にご参加の97%の方々が、10代の出産が毎週250人であることを「知らなかった」と回答されました。 2013年の日本産婦人科医会公式サイトからのデータによる詳細をみていきましょう。★10代の出産が毎週249人、年間12,964人。(2013年)★10代の中絶が毎週372人、年間19,359人。(2013年) 20~24歳の出産が、91,250人あるので、10代と合わせて 24歳以下の出産は104,214人。全出産の約10%に相当します。 少子高齢社会が世界最速で進む日本において、また女性活躍推進法が施行される現在の日本において、未来の親となる10代をとりまく誤った性情報への対策や、10代の行動変容対策が急がれます。 全人工妊娠中絶数は1980年代の半数に減りましたが、この10年間では全人工妊娠中絶数の10%が10代であることが変化していません。10代への予期せぬ妊娠出産予防対策には、さらに各世代にできることがあると考えます。 説教や脅し・禁止メッセージでは行動変容は起きません。 銀木犀さんのおっしゃるように「他人と対等に向き合うコミュニケーション」は重要な視点です。日本では1999年に文部科学省で「性教育」という言葉を使用するよう統一されました。それまでは戦後から「純潔教育」と呼ばれる施策が主流でしたが、現在は国際NGOのIPPFなども「包括的性教育」の主流化を提唱しています。包括的性教育を受けることで10代の避妊行動が現実化されることが証明されています。 銀木犀さんのご意見「いじめも性暴力もデートDVも、相手を尊重しないから起きることです。セックスも相手とのコミュニケーションの一つのはず。そして性暴力以外では、誰にでも、自分の意志でYesとNoを決めていい、同様に相手も自分の意志でYesとNoを決めていい、そういう繋がりなのだ、ということを教える機会が必要だと思います。」は、性教育のみならず生命教育の基盤であってほしいと思います。 「体のしくみを伝える」(yumminさん)のように、「淡々と平易に話せば、真剣に聞く耳を持たれることを経験している。学校であれば、クラス単位で人数が多いとふざけることもあるが、少人数で伝えると率直な質問もあった。そして、親への教育も必要だと思う。」というご意見はとても現実的です。 10代の人工妊娠中絶が激増した1980年代後半から2000年初頭まで、日本の学校現場で性教育のトラブルが多発した時期がありました。2001年より、前述の文科省・厚労省による国民運動計画「すこやか親子21」が開始され、医療職の方々からは「1980年代の人工妊娠中絶数より半減した」と報告が重なります。しかし14歳以下の妊娠出産は増えています。 性行動開始年齢を低年齢化させないためにも、医師が各学校に出張授業に来ることも理想ですが、全国の小学校21000校を訪問できる医師数も限られているかもしれません。予防医学的な「早期発見・早期治療」視点とともに、保健学的な「健康増進・健康行動」で啓発が進むことが具体的かもしれません。スクールナースがいるのは日本にしかない制度です。養護教諭の先生方の取り組みも重要ですし、期待します。 キャリアプランと人生設計とお金(sweetsugarさん)のおっしゃるように、 人生設計に対する学習を、キャリアデザインとともにライフデザイン教育として普及させることの重要性を、現場にいて実感しています。WHOも10代へのライフスキル教育の重要性を提唱しています。 次世代育成支援対策推進法が施行された年に、私は公益活動として10代を支援するために誕生学協会を設立しました。予期せぬ妊娠予防や自尊感情の向上から行動変容を支援しています。赤ちゃんゲストを同伴し、中学校へいのちの授業を届ける他、小学校低学年、3~4年生、高学年と年齢対象別にプログラムを分けています。今は14歳以下の中絶も年間400件以上、小学校6年生同士の妊娠もあり、子どもへの性の健康教育は喫緊の課題なのです。 2008年にNPO医療政策機構と共催で「10代の性」シンポジウムを開催した際に調査結果が出ました。都市都会、中間地域、地方郊外では、非避妊換算総性交渉回数(避妊に換算されない性交渉回数)に差があったのです。すべての地域で重要なのは、親への教育喚起でした。 私が代表を務める誕生学協会では、この10年間の活動の知見を軸に、今年ガールズエンパワーメントプロジェクトを開始しました。 男女でいのちの授業を学んだ後に、女子だけの時間もいただける機会を創出し、ライフデザインとしての性の健康教育を届ける試みです。 現在、女子に配布する「ガールズ心とからだの未来手帳」製作のためのファンドレイジングキャンペーンを実施中です。 ぜひ10代の女子たちが、ワーキングウーマンとして活躍できる未来のために、「しまった」で始まる妊娠ではなく「良かった」で始まる予定された妊娠を迎える女性に成長するための支援に、ご参加いただけたら幸いです。 イー・ウーマンにも許可いただき、情報掲載させていただきます。 引き続き、日本の次世代がしあわせな親となる未来、若い親の乳幼児虐待で幼い命が犠牲にならない社会を創るために、皆様と協議を重ね、具体策に動きたいと存じます。 今後とも、よろしくお願いいたします。★大葉議長の過去の円卓会議より・働く女性と出産タイミング。考えたこと、ありますか?・10-20代に、妊娠・出産のこと教えられますか?・養子縁組に、興味がありますか?
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