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会議番号:3383 開催期間 2016年03月11日- 03月18日
東日本大震災による津波で壊滅的な被害を受けた宮城県女川町では、ほかの被災地と同じように街並みの復興計画が少しずつ進んでいますが、ここには景観を損ねると評判の悪い防潮堤がありません。町の中心部全体の土地をかさ上げしているためです。JR女川駅から海に向かってまっすぐの道ができ、元旦には水平線から出る初日の出が見えるそうです。「防潮堤よりもお金がかかりそうですね」と町の人に尋ねたら、「ここは特別だからね」との答えが返ってきました。なるほど、女川は原発の立地自治体でした。 原発立地の町に住む住民は、復興をめぐっても、ほかよりも優遇されていると思っているのでしょう。それでも女川町の人口は、震災前に比べ4割近くも減っています。町に職場がある人のなかにも、「子どもの安全を考えて、流された家を隣町の石巻で再建した」という人もいます。原発を敬遠する人たちが町を去っていけば、町の原発依存度はさらに高まります。原発が再稼働できるかどうかは、文字通り、町の死活問題になりそうです。 原発を立地した地域の経済を維持するために再稼働は必要、というのは、順序が逆のように思いますが、今回の大津地裁の運転差し止め決定に失望する地元の事情を無視することはできないと思います。将来的にも、「脱原発」(野田政権)でも、「原発依存度を可能な限り低減」(安倍政権)でも、進めるには、立地地域の経済問題を考える必要があります。 いただいたコメントを読むと、地域の活性化策として、「再生エネルギー開発、廃炉技術、電力会社も地域も生き残りのためにもっと努力してほしい」(岡山・kemkemさん)という意見がありました。Kemkemさんは、苦しみながら産業転換を果たした産業は、繊維産業や炭鉱など、いくつもあると指摘しています。このほかにも、「電源3法の交付金を、原発廃炉や使用済み核燃料の廃棄方法、再生可能エネルギーの開発、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)などによるエネルギー需要の平準化などに使ってほしい」(静岡・シンゴパパ)という意見が出ました。 稼働を求める原発立地地域の住民と差し止めを求める周辺住民との間で、「住民同士の議論も必要」(広島・n.dan)という提案もありました。日本全体で考えると、「比較的安全な新しい原発を期間限定で稼働し、その間に廃炉費用や新電元の開発に回す」(神奈川・おれんじ78さん)、「電力不足を見据えた新しい生活方法など議論を進める」(海外・kkoさん)という意見もありました。 原発の経済効果は、さまざまな支援策がある立地地域だけではなく、国民全体が安い電力を豊富に使えることもあったわけで、「原発も上手に活用できないものか」(東京・まうやんさん)という意見も出ました。石油などの資源が有限であることを考えれば、「今の電気代で物事を計るのではなく、将来を見据え、科学的に冷静に議論したい」として、「原発を頭から否定してしまう判断はない」(大阪・blueberry53さん)という意見もあります。「既存の原発は使い切り、原発以外の手段を今のうちに講じる」(東京・いまだけいさん)という提案もありました。 今回の仮処分を受けて、関西電力は、電力料金の値下げを撤回しましたが、「電力料金の値上げという形で私たちを操作している可能性」(長崎・銀木犀さん)という疑問の声があがりました。 全体として、仮処分への賛否は別にして、万全の安全策を講じたうえでの再稼働はやむをえないとしても、なし崩し的に再稼働が進められることへの不安は、多くのコメントに共通しているように思いました。 「正論とか異論とかいう前に、そもそも論に立ち返る必要」(兵庫・メヌエットさん)という意見がありました。たしかに、将来の社会に原発は本当に必要なのか、もう一度、原点に戻って考える時期に来ていると思います。そこで、2030年代の日本の電力供給の姿を考えてみましょう。そこでは原発は、どんな位置にいるでしょうか。今回の原発差し止めを支持する(YES)、支持しない(NO)、どちらの方も、ご意見をお待ちしています。※働く人の円卓会議 編集部よりお願い 毎日、たくさんの投票・投稿をありがとうございます。 円卓会議の投稿では、「I Statement」で発言するというルールがあります。 「〜〜は○○すべき」ではなく「私は〜〜に○○してほしいと考える」など、「私」を主語とした発言を基本とする。批判・批評・攻撃をしないなど。詳しくはこちらをお読みの上、ご投稿ください。→「I Statementで発言していますか?」★高成田議長の過去の円卓会議より・東日本大震災から4年。風化したのでしょうか?・東北の復興支援、続けていますか?・原発の汚染水問題、理解していますか?
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