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会議番号:3489 開催期間 2018年04月06日- 04月13日
(れみぃ)さんは、つねに神を意識しているイスラム教徒の生き方から、日本における<お天道様は見ている>という考え方を連想されました。これは当然に浮かぶ疑問かと思います。人間を超えたものを意識して生きるという面では非常に似ています。 ただイスラム教徒の場合、コーランに記された他の文言と深く関係していますし、終末における神による審判といったこととも結びついているので、日々の具体的行為へのしばりはずっと強いかと思います。「お天道様が見ている」とか「天網恢恢疎にして漏らさず」は、どちらかと言えば、誰も見ていないからといっても悪いことをすれば天は見ているのだという意味あいが強いです。イスラム教徒にとっての神はいいこと、悪いことすべてを見通す存在です。似ているようで違う面があるので、かえって理解しづらいかもしれません。 (2kishir0)さんはなぜ豚肉が忌避されるのかを疑問に思われていますが、これは難しい質問です。豚肉はユダヤ教徒も汚れた動物とみなして食べません。ですからイスラム教以前からあった食の戒律です。豚が嫌われるのは、その雑食性とか豚肉の腐りやすさとか、いくつか説がありますが、いずれも仮説です。イスラム教徒にとっては神の啓示を記したコーランに食べるなと書かれているので、疑うことをしない戒律ということになります。 こうした食の戒律などについては、拙著『世界の宗教は人間に何を禁じてきたか』(KAWADE夢文庫)を参照いただければと思います。 (blueberry53)さんは、イスラム教徒は豚肉を好む日本人をどう見ているのかという疑問を出されましたが、多分人それぞれと思います。しかし私の経験から言っても、それほど気にしていないと感じます。イスラム教徒でなければ断食もしないわけですし、一日5回祈ることもしません。それを批判したり、自分たちと同じようにするように誘うことも普通はありません。 イスラム教徒の友人は何人かいますが、彼らが大事にしていることを認めるという態度で接していればとくに問題になることはありません。彼らはコーランやイスラム法を大事にして生きている人たちです。むしろ、場の空気を読んで行動形態を変えたり、上司の顔色をうかがいながら、ときに自分の価値観を押し殺してしまうような一部の日本人の方が、国際的には付き合うのが厄介と思われるかもしれません。 戒律でいえば、ユダヤ教徒の戒律はもっと複雑です。しかし原則が明確な戒律は、それを知りさえすれば対処しやすいはずです。相手への思いやりをもってさえいれば、分からないことはどんどん質問してかまいません。ハラールについて、いろいろ疑問やとまどいが生じたら、なぜそれに疑問をもったかを自省してみるのも面白いでしょう。とまどいは、自分が無意識に抱いている価値観との違いを意識したからこそ生じたわけです。それゆえ、自分が知らず知らずに従っている価値観、行動形態の特徴を自覚化する機会にもできます。 一週間お付き合いいただき、ありがとうございました。★井上議長の過去の円卓会議より・イスラム教徒と話したこと、ありますか?・イスラム教に悪いイメージを持っていますか?・外国人観光客増加。多様な宗教の習慣、理解していますか?
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