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会議番号:3515 開催期間 2018年10月05日- 10月12日
社会保障の改革という場合、とりあえず財源の問題は置いて考えてみます。まずは年金、介護、医療をどうするかです。医療費は現在42兆円(2016年度)です。しかし高齢化が進むにつれ、医療費は大きく膨らみます。あくまでもある前提のもとでの推計ですが、厚労省が出した資料によると2025年度で約48兆円、2040年度で70兆円前後となります。 現在でも42兆円のうち65歳以上の人が使う医療費は約6割に上ります。高齢化が進めば高齢者の医療費がさらに増えることは明らかです。42兆年のうち公費(すなわち税金)で負担しているものは16兆円で残りが健康保健や個人負担です。たとえば国民医療費70兆円になると今より28兆円も医療費が増えることになります。 28兆円を誰が負担するのか。健康保険組合といっても現役世代の人数が少ないなかでそんなに保険料で賄えるわけがありません。今でも健康保険組合が維持できなくなって解散する企業がたくさんあります。それでは窓口負担を増やすのはどうでしょう。もちろん2割負担の人や1割負担の人の負担を3割にすれば、保険財政はそれなりに助かります。逆にいうと高齢者の受診制限ということにもなります。基本的に私も賛成ですが、そのための国民的合意は取り付けられるのでしょうか。これはとても大きな政治的課題です。 高齢者の医療でもう一つ考えられるのは、もっとドラスティックな方法ですが、公的保険での受診に年齢制限をつけるということです。先日も本庶佑先生のノーベル賞受賞が決まり、ガンの免疫療法が脚光を浴びました。オプジーボという薬はしかし薬価が高いことでも知られています。患者一人に対して、今では年間1700万円ほどの薬代がかかります。こうなると現役世代の患者はともかく、たとえば80歳過ぎの患者に投与してその負担を背負えるのかどうかという問題が生じます。人生100年時代と言われますが、80歳をすぎたときの健康状態には、大きな個人差があります。そこをどう考えるかが問題です。 医療費ひとつ取っても、「全世代が安心できるような社会保障改革」というのはかなり絵に描いた餅にすぎません。とはいえ、将来世代のことを考えれば、全方位ではなく老人対象の社会保障を削ってでも子どもに予算を振り向けねばなりません。とりわけ高等教育まで含めた無償化は大事なテーマだと考えます。それは日本が存在していくためには、さまざまな分野でのイノベーションが必要だからです。それを担う子どもたちを育てなければなりません。 さて皆さんに伺います。もし社会保障を高齢者向けから若者、あるいは子どもたちに振り向けるとして、その財源はどうしますか。消費税が来年秋には10%になりますが(安倍首相が心変わりしなければ、ですが)それではとうてい足りません。将来的には25%でも仕方がないと考えますか。相続税の引き上げという提案もありましたが、相続税の税収は年3兆円にも満たないので、たとえ倍にしても増収分はたかが知れています。消費税は1%で税収としてはだいたい2兆5000億円ぐらいと思ってください。★藤田議長の過去の円卓会議より・トランプ大統領の貿易政策、気になりますか?(2018年7月)・株価上昇。日本経済は良い方向に動いていますか?(2017年12月)・安倍内閣、改造でよくなりますか?(2017年7月)
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