働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3520 開催期間 2018年11月09日- 11月16日
「結果的に1人の日本国民の命を守れたことは本当に良かったと思います」というtulipさんの言葉に尽きるのではないでしょうか。 紛争地であっても自国民の命を守ることは政府の責任です。主権が及ばず、秩序さえない異郷で、囚われの身となった人の命を守るのは、生易しいことではありません。 「テロリストとは交渉しない」は建前です。救出は、まず交渉ルートを開くことから始まる。相手とつながりがあり、影響力を持つ仲介者を探す。日本の立場を理解し協力してくれる仲間に動いてもらう。「関係の構築」は外交の基本です。 日本は武力や脅しを使えない。おカネで解決できるか見定めることは重要です。 自国民を「見放す」という選択は政府にはありません。結果的に「できない」ことはある。シリアではイスラム国に処刑された後藤健二さんの悲劇がありました。「ヨルダンに囚われているイスラム国の捕虜との交換」という日本政府の手に余る要求を突き付けられ、対応できないうちに時間切れとなった。 日本に強い外交力があったら、捕虜と後藤さんの交換をヨルダン政府に呑ませ、救出できたかもしれません。 救出活動を後押しするのは世論の高まりです。日本人が危険地帯で体を張るジャーナリストの活動にどれだけの関心を寄せているかが外交努力に反映します。 紛争地の救出活動は、その国の外交力を反映します。政府の力量と国民の関心によって決まると言っていいでしょう。今回は3年余がかかった。それが日本外交の現実です。 ところでイー・ウーマン代表の佐々木かをりさんが、紛争地で危うく命を落としかけたことをご存知ですか? アパルトヘイトと呼ばれた黒人への人種差別と闘った南アフリカの反政府闘争を取材にTVレポーターとして出かけた30歳ころのことです。反政府の黒人組織を威嚇する白人軍からの射撃を被弾しました。右足ふくらはぎだったのが不幸中の幸いでした。急所に当たっていたら、今の元気な姿はありません。 戦場での取材は、注意していても何が起こるか分からない。「危険」を避けるなら「取材に行かない」が正解です。社員の安全を重視する日本の報道機関は、社員を危険に晒すことをためらう。当時、佐々木さんは「テレビ朝日ニュースステーションとの番組契約」という非正規雇用でした。 佐々木さんの負傷は、新聞のベタ記事にしかならず、女性レポーターが紛争地で体を張って取材する現実にメディアも世論も関心は薄かったようです。 安田純平さんは信濃毎日新聞の記者としてイラクで取材していましたが、「長野県と関係ないから」と取材は不許可となったのでフリージャーナリストに転じた、と言っています。 日本では「海外の出来事」への興味は低く、戦場で多くの悲劇が起きていることへの感度は鈍いように思えます。危険地帯で命を掛けて仕事する戦場記者への共感はあまりない。その表れが冷ややかな「自己責任論」ではないか、と私は憂慮しています。 この一週間、正解のない課題に取り組み、考え続けた皆様に、「ありがとう」。★山田議長の過去の円卓会議より・沖縄知事選、注目していますか?・米朝会談。期待すること、ありますか?・「首相夫人」の証人喚問、必要だと思いますか?
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