イー・ウーマン（ewoman）

生活者としての受入体制（Piwo・36）

生活者となると行政よりも企業や地域社会を含んだ対応が多岐に渡り準備に時間がかかると思います。銀行口座や携帯電話等の開設手続き、学校入学や役所などでの各種手続き書類、地域の防災マニュアル等の多くの生活に必要な手続きや情報の多言語対応に始まり、「Japanese as second language」の学校/学級整備、配偶者もアルバイトができるなど、課題は山積み。

選ばれる日本になるために（kyoko004・神奈川県・41）

この会議での「外国人労働者に選ばれる国に」という発言に、意識を変えさせられました。元々、日本の（経済を始めとする）維持のためには外国人の定住が重要と考えていましたが、来た人に対する整備や対応を、と考えていました。受け入れてあげるという考えがどこかにあったのかもしれません。選んでもらうという意識であれば、様々なところから人材、コストの手が上がりそうです。選んでもらうという意識改革から必要かもしれません。

仲間として迎える（真打ち・栃木県・49）

生活者として考えた場合は、雇用側と各自治体が「地域の一員（仲間）」として接する体制作りが急務ではないだろうか。長期化すれば、日本生まれ・日本育ちの子どもが増えていく事から、教育機関の受け入れ態勢も課題だろう。高校や大学生、教員退職者、塾講師経験者に日本語を始めとする学業支援を要請する等、潜在的労働力の掘り起こしも兼ねた人材活用も出来るのではないだろうか。そして、差別等の観点から、雇用主や自治会長の裁量で対応に地域格差が出ないよう、願って止まない。

みんなにやさしい社会（Jerryb・東京都・51）

言語習得もですが、日本では気持ちを推しはかりあう文化があるので、そうでない人を受け入れるには難しい面があるのだと思います。しかし、文化が違う人々が暮らしやすい社会は日本人の弱者にもやさしい社会なのではないでしょうか。受け入れコストという形で今まで暗黙知だったちょっとしたルールやいろんなヒントが表に出るのは、長い目で見ればいいことだと思います。

幅広く考えた方が良いのでは（blueberry53・大阪府・62）

今後、移民は認める必要があると思いますが、生活支援に併せて母国のアイデンティティと日本との環境との調和について理解を深めるようにする必要があります。それが少なければいずれ分断と対立が起きると思います。また、特に、低賃金、肉体労働の外国人就業者に対しての共通理解も必要です。労働生産性を高める必要がある中、そのような労働力は社会的に大切であるという認識が大切だと思います。ダイバーシティを人種間などに限定せず、職種、地位等幅広く理解を深める必要があると思います。

日本の現状では難しい（あさーかす・大阪府・46）

長い目で見れば反対ではありませんが、今の日本で移民受け入れの拡大は難しいと考えています。議長が投げかけた教育などのコストは税金で賄うことになると思いますが、高齢化社会で社会保障費が増大している今、どこからその費用を捻出できるのか疑問です。また、移民の様々な宗教や生活習慣を受けいれる土壌もまだ育っていないと私は思います。現状でも課題が多い外国人労働者の状況をまずはきちんと整える必要があると思います。

地域密着の就労支援団体（みもざ・神奈川県・50）

地球上の人口爆発と日本の少子化の不均衡を考えると、いずれ日本も受け入れざるを得ないのは理解出来る。しかし、現時点では移民の方を日本人と同じ生活者として受け入れる体制が準備されていないと思う。私たち日本人は義務教育や社会保障の上で、労働の義務も負っている。受け入れるのであれば、労働力として育てるという長期の視点と共生の覚悟が我々にもなくてはならない。現在地域の就労支援を行っているNPOなどが行政からの支援を受け、その担い手として活躍出来ることを期待する。

労働環境悪化につなげる懸念（himik・神奈川県・50）

私は将来を憂慮しています。日本の文化を尊重し理解し日本人として責任を持って生きる人を受け入れるならば譲歩もできますが。単純労働のために日本人と同じ報酬で外国人を呼び寄せるために、既に膨張しすぎて足りなくなっている社会保障費もその「外国人」のために使うとは、賛成しかねます。女性やシニアや引きこもりの人を「再教育」して雇用するよりは、若い外国人を雇いたいというのは経営者側の都合ですよね。高齢女性が職を奪われる危機感を持っています。

定住する外国人労働者を移民と考えると、移民を受け入れるコストは、多岐にわたります。（Piwoさん）は、「銀行口座や携帯電話等の開設手続き、学校入学や役所などでの各種手続き書類、地域の防災マニュアル等の多くの生活に必要な手続きや情報の多言語対応に始まり、『Japanese as second language』の学校/学級整備」など、例示したうえで、「課題は山積み」と言います。
 
「単純労働のために日本人と同じ報酬で外国人を呼び寄せるために、既に膨張しすぎて足りなくなっている社会保障費もその『外国人』のために使うとは、賛成しかねます」（himikさん）、「高齢化社会で社会保障費が増大している今、どこからその費用を捻出できるのか疑問」（あさーかすさん）といった声は、外国人労働者の拡大に不安を持つ多くの人たちを代弁していると思います。だから、「現時点では移民の方を日本人と同じ生活者として受け入れる体制が準備されていない」（みもざさん）という結論が出てくるのも当然でしょう。
 
ただ、こうした意見のみなさんも、移民がふえるのは時代の流れということでは、一致しているように思えます。受け入れ体制の不備を指摘するのは、移民拒否の言い訳ではなく、日本の社会を「国際化」するための条件づくりの提言と考えるべきかもしれません。
 
外国人労働者が日本の労働者の賃金水準を引き下げたり、仕事を奪ったりする恐れは消えません。しかし、外国人の定住者が新たな需要をつくることもあります。コミュニティの受け入れにはコストがかかりますが、それは新たな仕事を作りだしているともいえます。「高校や大学生、教員退職者、塾講師経験者に日本語を始めとする学業支援を要請する等、潜在的労働力の掘り起こしも兼ねた人材活用も出来る」（真打ちさん）という見方です。
 
「文化が違う人々が暮らしやすい社会は、日本人の弱者にもやさしい社会」（Jerrybさん）という考え方は、これからの外国人との共生社会で、私たちが持ち続けていたいものです。「（移民への）生活支援に併せて母国のアイデンティティと日本との環境との調和について理解を深めるようにする必要があります。それが少なければいずれ分断と対立が起きる」（blueberry53さん）というのは大事な指摘です。日本の歴史を振り返れば、日本列島に住んできた私たちの祖先は、外から来るひとびとを「まれびと」として温かく迎えてきました。外国人労働者を「受けれてあげる」ではなく、「選んでもらうという意識改革」（kyoko004さん）が求められるでしょう。
 
先日、2万3000人の外国人が住む浜松市の鈴木康友市長が日本記者クラブで会見した際、「外国人との共生にかかる費用は、外国人労働者による浜松市のGDPの増加に見合うのですか」という質問をしました。鈴木市長の答えは「浜松の経済は、もはや外国人労働者がいなかれば成り立ちません」というものでした。また、会見では、全国の政令都市20市と東京都区部あわせた21地区の犯罪発生率をみると、浜松市は19位で「外国人が多い都市の犯罪発生率が多いという事実はない」と、鈴木市長は断言していました。
 
情報技術を軸とする産業革命は、新しいアイデアを求めていて、それには文化的な多様性による刺激が必須です。移民社会という帰らざる河を私たちは下り始めたとすれば、うまく流れに乗ることができるように、私たちの政府も社会も個人も「意識改革」をしなければなりません。その意味では、「移民」という言葉を意図的に避けている政権の姿勢が、生活者として外国人を受け入れる環境づくりを遅らせ、それが対立や差別を引き起こす遠因にならないか、私は心配しています。
 
外国人労働者をめぐる問題は、入管法の改正がほんの入り口で、これからの議論の積み重ねが大事で、議論をスルーすることは国を危うくすることにつながります。政策遂行の担当者は、この円卓会議での皆さんの意見に耳を傾けていただきたいと思います。一週間、いろいろな意見をありがとうございました。



 
★高成田議長の過去の円卓会議より
・自民党総裁選、安倍首相の続投がいいですか？
・平昌五輪。朝鮮半島の平和と安定につながりますか？
・東北産の農林水産物。食べていますか？

• 2018.12.21
• 高成田享 コラムニスト、元 朝日新聞論説委員