イー・ウーマン（ewoman）

少しでも早く治したい。（abbyi・神奈川県・40）

今回久々の感染だったため、薬剤に関する予備知識がなく、医師から勧められたゾフルーザをそのまま処方してもらいました。処方時の説明では1日で熱が下がるはずということでしたが結果的に丸2日かかり、その間、洗濯をするだけで疲れきってしまう状態でした。一人暮らしで、誰かに代わりに家事をやってもらうこともできないので、少しでも早く熱が下がるかどうかは死活問題です。次にもし感染することがあったら、その点を医師に伝えて薬剤を選びたいです。

特に説明はなくイナビル（ayaPa・神奈川県・43）

2018年1月1日インフルエンザB型と診断され、休日診療所にてイナビルが処方された。どの薬にするかについて説明はなく、選択肢がたくさんあるとも思いもよらず、相談もしなかった。「吸入」のお薬は初めてだったので、薬剤師さんからお薬をもらったその場で教えてもらいながら吸入した。その日のうちに熱が下がり、3日間しっかり休養できたので、5日の仕事始めは出勤することができた。初のインフルエンザは意外と軽かった印象である。

流行りませんでした！（n.dan　・広島県・45）

今年は家族やそのまわりでは流行っていません。友人の子どもが新薬を使用したらすぐ熱は下がったけど、使用するのは怖かったと言っていました。子どもの場合は好き嫌いがあるので、用量や期間を守れないことはありますが、選定は基本先生にお任せしています。もちろん希望などはお伝えします。

副作用が気になります（やっちゃん２４・大阪府・50）

今年、インフルエンザにかかっていませんが、もし、薬を処方されるのであれば、医師には副作用について教えていただきたいです。薬は病気を治したり、症状を緩和してくれるけれど、身体に何らかのダメージがあると持病の治療で感じているからです。副作用がとても気になります。

選択の余地もなく（まうやん・東京都・47）

一昨年インフルエンザ陽性と診断されてから処方されたのはイナビルでした。検査が陽性となってからあっという間に処方され帰されたのを覚えています。その時、高熱が出ていたのでどういう過程で処方されたかはうろ覚えですが、おそらくタミフルや他の薬剤を勧められることもなく処方され、処方された通りに吸入しました。本来は薬剤をいくつか提示されるものなのでしょうか。とにかく早く治したい、それしか考えていなかったので吸入だったのかもしれませんが。

信頼関係と判断（真打ち・栃木県・49）

先月A型に罹患した家族（25歳）が、タミフル（内服）を5日分処方された。こちらで相談はしなかったが「リレンザ（吸入）は子どもに出したいので、タミフルに」と言われたそうだ。朝晩1錠ずつだが、薬袋には3錠残った。嘔吐やふらつきがあり、再診時には吐き気止めや胃薬が出た。かかりつけを受診したが、仮に抗ウイルス薬を処方されなくても、対応には疑念を持たなかっただろう。信頼がある余り医師任せになっていた意識を、今回を機に見直したい。

タミフルは劇的に効いた（ドゥーイグレック・東京都・59）

以前、初めてのインフルエンザでこれまで経験したことのない頭痛を経験した。その年は偶然タミフルが認可された年で、医師に特効薬が出たからと言われ、この頭痛から解放されるなら何でも！という感じで処方を受けた。24時間以内どころか、あれほど即効性があり、症状の軽快した薬を知らないほどの効き目だった。それ以来症状のひどさとの天秤と、仕事が不特定多数と会うものなので家族のためにも予防接種は必ず受けている。自分もだが、まわりの人の健康も守りたいので。

みなさん、最終日まで数多くの投稿、ありがとうございました。
 
そのまま相談しないで、処方を受けたAbbyiさん、ayaPaさん。忙しい外来？のため相談する時間がなかったまうやんさん。真打ちさんは、信頼関係によって相談をしていなかったと。n.danさんも、希望は伝えるようですが、基本、医師にお任せとのこと。意外と皆さんが処方薬の相談をしていない事にビックリしました！
 
高熱と頭痛でだるくて意識も朦朧としているときに相談できない、と仰る方もいるかもしれません。でも、やっちゃんさんのように、副作用も含め、概略だけでもお話してもらう必要はあるかと思います。
 
抗インフルエンザ薬について、以下の事はぜひ知っておいてください。
 
種類は3種類あります。アマンタジン、ノイラミニダーゼ（NA）阻害薬、そして、新薬であるゾフルーザです。
 
アマンタジンは、パーキンソン病の治療薬ですが、抗インフルエンザ薬でもあります。しかし、2003年から、世界中のインフルエンザウイルスは、アマンタジン耐性ウイルスです。ほぼ100％！なので、WHOもCDCも推奨していません。日本国内でも抗インフルエンザ薬として使用している先生はいないと思います。なので、頭の片隅の知識で十分です。
 
次に、NA阻害薬です。これは、内服のタミフル、吸入のイナビルとリレンザ、点滴のラピアクタです。これらの、臨床的な有効性（熱が平熱になるまでの時間、インフルエンザ症状が改善するまでの時間等）は、4剤ともほぼ一緒です。
もちろん、シーズンによって、多少のばらつきはありますが、ウイルスの阻害部位は、ウイルスのNAというタンパクで、4剤とも一緒です。イナビルを処方されたから治りが良いとか、タミフルは悪い、ということはありません。
 
でも、NA阻害薬は3点留意しておかなければなりません。
1つ目は、薬剤耐性ウイルス出現に差があります。タミフルは、リレンザ、イナビルに比べ高率です。これは、吸入薬は、鼻咽頭部位に薬剤が高濃度に到達するので一気にウイルス増殖を抑えますが、内服薬は、血液を介して同部位に運ばれるので、薬剤の組織濃度は低く、ウイルス増殖を一気に抑えられないため、と考えられています。しかし、健康な方であれば、1週間前後でインフルエンザの抗体が自然と作られるため、仮に耐性ウイルスが体内で出現しても自然と消失します。
（※ラピアクタ耐性ウイルスはタミフルとほぼ同じレベルです；ラピアクタは、タミフルと同じようにウイルスの増殖をストップさせるので、ウイルスがタミフルに耐性を持つと、自然とラピアクタにも耐性を持ってしまうためです。）
 
2つ目は、次に紹介するゾフルーザと、臨床的な有効性は変わりありません。有熱期間及び症状の改善までの時間は、ほぼ一緒です。前回紹介したこちらの論文で結果が報告されています。
Baloxavir Marboxil for Uncomplicated Influenza in Adults and Adolescents.
HaydenFG, Sugaya N, Hirotsu N, Lee N, de Jong MD, Hurt AC, Ishida T, Sekino H, Yamada K, Portsmouth S, Kawaguchi K, Shishido T, Arai M, Tsuchiya K, Uehara T, Watanabe A; Baloxavir Marboxil Investigators Group.
N Engl J Med. 2018 Sep 6;379(10):913-923. doi: 10.1056/NEJMoa1716197.
 
3つ目は、NA阻害薬は、B型には効果が少ないです。A型に治療した時のように内服後24時間で解熱、といきません。
 
次に、新薬のゾフルーザです。これは、細胞に感染したウイルスの増殖過程を阻害する薬剤です。NA阻害薬と臨床症状の改善には差がないことを説明しました。
特徴は、1回の内服で治療が完結すること、さらに、体内でのウイルスの増殖を強力に抑制すること、です。しかし、一方で、ゾフルーザ耐性ウイルスがタミフル等より高率に起こり耐性ウイルスが拡大する可能性もあり、今シーズンが終了した時点での、耐性ウイルスの感染伝播の報告（国立感染症研究所から報告）には目を光らせる必要があります。
（※タミフル耐性ウイルスは、ウイルスの増殖する能力が非常に弱いので、感染が拡大するリスクは低いです）
 
インフルエンザの大きな流行から、学校や職場では、混乱もあったかもしれません。ドゥーイグレックさんのように、自分のみならず社会の健康を守る気持ちでインフルエンザに立ち向かっていただけると日本のインフルエンザ対策はより良いものに進展していきます！
 
今回、インフルエンザの検査や治療について議論してきました。多くの投稿をいただき感謝申し上げます。これからB型の流行もあるかもしれません。
皆さん、引き続き、健康管理には十分留意して、よい春をお迎えください。
1週間、ありがとうございました。





★田村議長の過去の円卓会議より
・インフルエンザ、早くも流行。ワクチン接種、受けますか？
・インフルエンザに備えていますか？
・はしか流行中。空気感染すること、知ってましたか？

• 2019.03.01
• 田村大輔 自治医科大学 小児科学 准教授、医薬品医療機器総合機構 新薬審査外部専門委員