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会議番号:3548 開催期間 2019年06月14日- 06月21日
2000万円という数字が一人歩きしています。皆さんも金融庁が出した「高齢社会における資産形成・管理」と題する報告書を是非ご覧になってください。この報告書を読むと、いわゆる「2000万円問題」は本論とは別に関係のない現状整理であることが分かります。 この報告書の主張は概ね以下のようにまとめられるでしょうか。「高齢化・人口減少社会であるために人類が経験したことのないいろいろな問題が日本で発生する。認知症の老人が増加するのもその一つ。だから資産形成を支援するためのサービスを充実させることや、投資商品なども一過性で売るのではなく、その個人のポートフォリオに合わせたものにしよう」。要するに金融サービス会社へ読ませるためのリポートです。もともと年金だけで納得のいく暮らしができるわけではありません。何らかの資産形成が必要です。しかし貯金していても金利はつかないので、資産を増やそうと思えば投資が必要です。 団塊の世代が高齢化して(かく言う私もその一人ですが)、年金、介護、医療などの社会保障にかかる費用が増えています。かつ平均寿命が延びることで、当然、こうした社会保障の費用はますます増えます。だから社会保障の改革(有り体にいえば国が貯めてきた資金の「食い延ばし」)をしなければならないといろいろな人が言っていたのに、「税と社会保障の一体改革」は置き去りにされてきました。誤解を恐れずに言えば、誰もが(与党も野党も)、老人票が他党に流れてしまうのを恐れて、改革を打ち出せなかったのです。 今回も内容はごくまともなのに、選挙前だからといって「報告書を受け取らない」というのはとても責任ある与党の姿勢とは言えません。たとえこの報告書を葬り去っても、問題は当然何も解決されないままに残ります。本来なら、この参院選で日本の10年後、20年後のビジョンを各党で競ってほしいところですが、とてもとてもそんなレベルには達しそうにありません。政治家は票のことしか考えないのかとちょっとがっかりした次第です。世界の政治を覆うポピュリズム(大衆迎合主義)は、実は日本ではこういう形で現れているのだとも思います。 皆さんは、「老後のために2000万円」という報道に驚きましたか? いったい私たちは何を考え、何を議論し、何に変えなければいけないのか。 活発なご意見をお待ちしております。★藤田議長の過去の円卓会議より・衆参ダブル選挙、いいと思いますか?・統計の不適切調査。再発防止策ありますか?・トランプ大統領の貿易政策、気になりますか?
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