働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3548 開催期間 2019年06月14日- 06月21日
n.danさんが言われるように、日本に住む私たちは高福祉・高負担を経験していません。とはいえ経験してみて選ぶということはほぼ不可能なので、他国のことを学ぶしかありません。高福祉・高負担の国としては北欧諸国が有名です。フィンランドに行ったとき、学生とおぼしき若者と立ち話をしました。たしか当時の消費税は25%まではいってなかったような気がしますが、「こんなに消費税が高くて不満はないの?」と聞いたら「別に不満はない。教育は無料だし、医療費もほとんど無料だから安心して暮らせる」と答えてくれました。 もっとも北欧諸国がそれで安定しているかというとそうでもありません。どこの国も「右寄り」の政治家が増えて、リベラルな「社会民主主義」が押されています。そういった社会を支えるコストが高すぎるという批判が高まっているのです。移民についても自分たちが納めてきた税金で移民が大きな社会保障を受ける(たとえば医療費)のは納得がいかないと主張する人が増えています。 医療費では興味深い話があります。日本に来た外国人が緊急手術を受けたのですが、旅行保険などに入っていなかったため、病院がその医療費を負担したというのです。これは「美談」として報じられましたが、もしそういう外国人旅行者が増えたら、誰が医療費を払うのでしょうか。アメリカでは保険に入っているかどうか確認してからしか治療しません(これは外国人だけでなくアメリカ人も同じです)。 日本の消費税は今年の秋で10%ですから、もしたとえば25%まで上げることができれば、国税収入で年間30兆円ぐらいの増収になるでしょう。もちろんそこまで消費税を高くするのなら、マイナンバーを利用した給付付き税額控除などの低所得者対策をしなければ、つまりシンゴパパさんが言われるような所得再配分をしなければなりません。ただそれでも公的な借金は1000兆円を超えていますから、医療、介護、年金を大幅に改善することは難しいと思います。つまり日本では高福祉・高負担を実現するにはかなりのハードルがあると思われます。 かといって、アメリカのように基本的に「自己責任」という考え方では、低所得者層に対して厳しい社会になってしまいます。そうなるといわゆる生活保護が増えて、ギスギスした社会になりそうです。下手をすると親の面倒を見るのは子どもの義務だという政治家が増えるかもしれません。 いずれにせよ、よくテレビの街頭インタビューで見るように、「税金高いの嫌よね」「でも社会保障は充実してもらわないと」というのはありえない話です。これから高齢者がさらに増えるなかで、私たちは将来を見据えながら厳しい選択を迫られるかもしれません。「100年安心」という言葉も、人生の話ではなく年金制度の話です。もちろん給付を遅らせたり、金額を減らせば制度としては100年もつかもしれませんが、私たちの暮らしはもたなくなるでしょう。この老後2000万円問題を契機に日本の将来を見据えた議論が必要だと思います。 さて皆さんに伺います。国民の負担を伴う社会の改革はなかなか難しいものです。かつて小泉首相は「痛みなくして改革なし」と言いました。私もそう思います。政治家の役割は、その痛みを国民に対して説得することだと思うのですが、今回は与党も野党も本質に触れずに逃げと、揚げ足取りに終始しているように見えます。日本の政治は果たしてよくなっているのでしょうか、それとも悪くなっているのでしょうか。ちなみに世界の政治は、基本的に悪くなっていると私は思っています。「自国中心主義」やら「ポピュリズム」やらで国民を説得するというより煽る傾向が強まっていると感じるからです。日本の政治について皆さんがどう感じておられるのか、教えてください。★藤田議長の過去の円卓会議より・衆参ダブル選挙、いいと思いますか?・統計の不適切調査。再発防止策ありますか?・トランプ大統領の貿易政策、気になりますか?
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