働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3555 開催期間 2019年07月26日- 08月02日
男性の育児休業取得が浸透しない理由のひとつに、「収入減」があります。「夫に育休とって欲しいけど、家計が厳しくなるから無理……」という声も聞かれます。そう、背景には、男女の賃金格差があるのです。日本は先進国の中でも男女の賃金格差が大きく、女性の賃金は男性の約7割に留まります。「夫が大黒柱」という家庭では、男性育休は家計に大きなダメージをもたらすのです。 男女の賃金格差の解消が大命題であることは言わずもがなですが、格差解消には時間がかかります。そこで、リンダ山本さんが紹介してくれたドイツの例のように育休中の収入補てんを手厚くすれば、父親の育休取得を後押しできそうです。現在日本の育休中の収入補てんは、取得から半年間は休業前の賃金月額の67%、それ以降は50%です。前々回に紹介した男性育休取得率約9割のスウエーデンでは、390日は休暇前の給料の8割が給付されます。この程度まで引き上げることができれば、経済的にも安心して、パパも育児休業が取れそうです。 実は、妻の出産時に有給休暇を取って、育休替わりとする男性も少なくありません。育児休業に比べて手続きが簡単で「収入減」も避けられるためです。企業側も現実的な策として、有給休暇での父親の出産時休暇を奨励するところもあります。DiamondBarさんの提案する「有給休暇のフル活用」ですね。 このほか、男性の育児休業取得を促すために、組織ができることは何でしょう。「時短勤と自宅勤務」(Tosukuさん)、「年6週間の有給」(リンダ山本さん)など、「社員が何時でも職場にいて当たり前」の働き方を改めることも、一歩になるでしょう。 Ki-yoさん、月のしずくさんの言う「プライベートの共有」「男性自身がオープン(に語ること)」のできる職場環境づくりも重要です。「家庭の話を職場に持ち込むな」というのは、もはや昔の話。育児や介護などで時間制約のある社員が多くを占めるようになった今、家庭の事情を職場で安心して話せるようにする環境づくりが求められています。職場のチーム内で配慮が行き届き、心理的な安心感を得られる「サイコロジカル・セーフティ」の高い職場は生産性が高い、という調査をグーグルが行ったことは知られています。コミュニケーションが取れている職場は働き方改革も進み、休暇もとりやすく、結果として生産性が高くなるのではないでしょうか。 なぜ男性は育児休業を取りにくいのか――背景にあるものを探っていくと、長時間労働を是とする職場風土、評価制度、男女の賃金格差、そして未だ不十分な社会保障制度等々、さまざまな課題が浮かびあがってきました。「男性の育児休業義務化」という策を講じるか否かを問わず、こうした壁を取り除いていくことは必要です。男性も女性も、育休取得率に変わりがない、そんな社会を目指したいものです。★野村議長の過去の円卓会議より・入試、就職、昇格で 「女性差別」と感じたことがありますか?・フェイクニュースにだまされない自信、ありますか? ・定年を意識したことがありますか?
イー・ウーマン
表参道カレッジ
eshop
©2014 ewoman, Inc.