イー・ウーマン（ewoman）

指導とは何か（ゆうたんぽん・岩手県・55）

体罰とは、その指導者の理性の限界を超えたときなのかなと私は思っているので、反対ではあります。夫は陸上部のキャプテン経験者で、体罰対象の部員の代わりに監督から殴られたことが何度かあったとのこと。昔は当たり前だったからと、それほど気に留めていません。指導される側もさまざまで、時と場合によっては多少やむを得ないのかなと、あえて意見させてもらいます。

とにかく被害に声を上げる（レッズ・埼玉県・40）

体罰を無くすためには、とにかく被害に声を上げることだと思います。声を上げない＝体罰を黙認している、という風潮を作っているのだと思います。スポーツの上達のためには、時には選手を追い込む厳しさは必要だと思いますが、そこには体罰は絶対にいらないと思います。

指導者への指導を（blueberry53・大阪府・64）

私はスポーツの世界のことは詳しくありませんが、指導技術もかつてより格段に進歩していると思いますので、アンガーマネジメントのような技術は広く普及しても良いのではと思います。ただ、指導者の層が広いので、すべての指導者の方の知識や能力を高めることは難しいのではと思います。資格制度のようなものをつくり、それを基準に指導者を選定するなど指導者の位置づけをはっきりさせることを望みます。また、アンガーマネジメントは養育にも役立つため、一般の教育にも取り入れることを望みます。

心身ともに体罰反対（みろろん・海外・その他・49）

先日も、あるお父様がサッカーコーチの暴言がひどい、と嘆いておられました。日本は体育会系が軍隊のようなところがあり、心配です。ある意味、勝ち負けにこだわりすぎていることも体罰の原因になっていると思います。特に若い世代の人には伸び伸びとスポーツしてほしいです。

「やむを得ない場合」とは？（unagi・東京都・60）

「やむを得ず必要な場合もある」という指導者がいるなら、それがどんな時かを指導者仲間や指導される側とともに共有し、体罰を使わずに済む方法を一緒に考える機会をつくってほしいと思います。「危険を防ぐために有形力を行使した」なら、それは体罰でないと考える（有形力といっても、腕をつかんだりするならともかく、殴る蹴るは不要と思いますが）。そうでないなら体罰ということで、使わずに済む方法を考えれば、指導法も変わると思います。

心を動かすことが大切です（めぐっち・51）

指導者に愛がなければ、選手には伝わらないと思います。選手の心に寄り添い、時には厳しい言葉をかける事もあるでしょう。そこには愛があるかないか。伝わるかどうかだと思います。体罰や暴言は指導者の感情でしかなく、選手の気持ちを動かす事は出来ません。人が動くときは感動したときのみということを、指導者は知ってほしいと思います。

仕方ないかもしれないが必要ない（shosho・京都府・55）

昭和世代の元運動部員なので、体罰を見聞きしたことはあります。でも、体罰で力がつくというエビデンスがあるのでしょうか？　力を伸ばすために委縮させるなんてナンセンスです。教える側も人間なので、多少の暴言が出てしまうことはあると思いますが、その状態を許容してはいけないと思います。立場の差があるからこそ、弱い側を尊重して対峙してほしいと思います。

何事にもあってはならない（パフィンドーナッツ・埼玉県・52）

スポーツに限らず、体罰はあってはならないと思います。スポーツが閉鎖的な師弟関係を代々継承しており、正しい在り方が反映されない状態が問題です。

「スポーツに体罰。仕方ないですか？」という質問に対し、たくさんの投稿をいただき、ありがとうございました。
 
YESの投稿の中には、体罰には反対だけれども、やむを得ないときがあるという意見がありました。
「反対ではあります。〜〜〜指導される側もさまざまで、時と場合によっては多少やむを得ない」（ゆうたんぽんさん）
 
子どもへの体罰はいけないと思いつつも、育児の中で悪態をつき続ける子どもに手をあげてしまう、という場面などに通じるご意見のように思います。しかし、そうした場面でも、どんな時でも暴力はダメだったと考えて反省するか、そういう時と場合だったからやむを得なかったと考えて肯定するかの別れ道があるように思います。
 
実は日本では昨年（2020）、体罰は全面的に禁止されるに至りました。数十年に及ぶ市民社会の働きかけの結果です。この体罰禁止はもちろんスポーツにも及びます。また、子どもへの暴力や暴言はスポーツの中でも「児童虐待」にあたりますが、児童虐待も全面的に禁止されています（「何人も、児童に対し、虐待をしてはならない」（児童虐待防止法第3条））
 
つまり、スポーツの場でも、あらゆる体罰は禁止されている違法行為です。しかし現実には今も、一種の指導法として、日本のスポーツ界に深く根付いたままです。指導者自身が、そして社会全体で、スポーツでの体罰は違法、という認識をまだまだ十分持てていないのが現状のようです。
 
前回、子どもも保護者もなかなか声をあげられない現状を「どうすれば変わるか」という問いかけをさせていただきましたが、「とにかく被害に声を上げる」（レッズさん）、「指導者への指導を」（blueberry53さん）、「「やむを得ず必要な場合もある」という指導者がいるなら、体罰を使わずに済む方法を一緒に考える」（unagiさん）など、たくさんのご意見をいただきました。ありがとうございました。
 
スポーツへの参加は、子どもたちがスポーツの楽しさを経験するとともに、心身の発達と成長の機会となるものです。でも日本の現実では今も、あまりの多くの子どもたちにとって、スポーツが痛みや恐怖、苦痛をもたらす経験となってしまっています。
 
今年2月、当時の東京五輪組織委員会会長の森喜朗氏が、女性蔑視発言への批判を受けて辞任する事態がありました。森氏の女性蔑視発言に当初関係者が声をあげられなかった一因として、あるスポーツ関係者が、上には物申せないという文化がスポーツ界には強いと指摘しておられました。森喜朗氏であろうと指導者であろうと、「上の人」の行為には体罰でも、蔑視発言であろうと、人権侵害に物申しにくいスポーツ界の現状を変えていく必要があるのではないでしょうか。
 
東京五輪開催には賛否があります。しかし開催されるにしろされないにしろ、五輪のレガシーは必要です。スポーツ界で、人権侵害に声をあげられる文化、そして体罰や（蔑視発言を含む）暴言はダメという文化、スポーツの中で人権と尊厳が尊重される文化を東京五輪のレガシーとして作っていく必要があると思います。次世代の子どもたちのためにも。
 
そこで、最後の質問です。スポーツでの体罰をなくしていくために、私たちにできることは何でしょうか？　また、みなさんが政府に求めることは何でしょうか？


＊イー・ウーマン編集担当より
投稿のルール「I statement」（「〜べき」は使わないなど）を守り、「国民は」「普通は」などではなく、「私」を主語として、自分の考えや体験を投稿してください。掲載する投稿には、編集にて「私は」を入れさせていただく場合もありますのでご了承ください。

★土井議長の過去の円卓会議より
・人種差別を実感したこと、ありますか？

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・スポーツ界のダイバーシティ、気になりますか？
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• 2021.06.16
• 土井香苗 国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」（HRW）日本代表、ニューヨーク州弁護士