働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3651 開催期間 2021年08月06日- 08月13日
親や祖父母の体験を通じて戦争の怖さを知り、子どもや孫の世代に伝えようとする方々がいることは心強いことです。 海外在住のみろろんさんは「自分に直結する祖父母の体験を子どもたちに語り継ぐことは親の義務くらいに感じています」と書きました。alberthawkingさんは、父母が語ってくれた戦争の話に体験に裏打ちされた重みを実感したといいます。パフィンドーナッツさんは、数十キロはなれたところで原爆を体験したお父さんから被爆直後の現地の様子などを聞き、「孫たちにも話してほしい」と頼んだそうです。 こうした「語り継がれる戦争」の中で、ザワッと心臓に触られたような感触を覚えたのが、「人を殺すという体験の壮絶さ」というAchikoさんの投稿でした。 「母方の祖父は中国から復員後、家業に身が入らず賭け事に走り、家族を顧みなかったことから、家族親族に嫌悪された」。 似た話が、初日の「背景文」で紹介した沢村記者の記事にもあります。 「中国から復員後、定職に就かず、亡くなるまで無口・無気力だった父を黒井さんは軽蔑して育った」。父親の異変を「戦場で受けた心の傷が原因」と黒井さんが認識できたのは、ベトナム戦争から帰還した米兵が心的後遺症に悩まされているという話を聞いてからでした。 Achikoさんの家庭では、 「大人は、この不穏な出来事が中国で多くの人を殺した経験の壮絶さに起因すると受け止めるも、祖父の幼い子ら(母など)の心には、父親の庇護と愛情のない辛い体験として刻まれた」 簡潔な文章に、戦争の残酷さが凝縮されていて、息がつまります。 今年5月、101歳で亡くなった元陸軍伍長・近藤一さんのことが7日の朝日新聞に載っていました。中国・山西省などを転戦し、中国人捕虜を銃剣で突き刺す初年兵訓練や赤ん坊を抱いた若い女性を裸にして行軍に同行させ、赤ん坊を谷に放り投げると女性も後を追って身を投げて死んだことなどの加害体験を赤裸々に語った人です。 「身内の恥をさらすな」と批判をされても「あったことを隠したら、戦争の実像が伝わらない」と証言しつづけた数少ない「語り部」でした。 ほとんどの人は、口を閉ざして墓場まで持っていきました。耐えられず心的障害を発症する人は少なくなかった。そうした「トラブル」は家という枠に閉じ込められ、社会的な救済さえなかった。語られることのない記憶は、社会の共通認識にならず、中国・朝鮮はじめアジア諸国の「被害感情」と摩擦を生じるタネになっています。 戦争を実体験した世代がほとんどいなくなり、「戦争だけはダメ」という国民感情も決して盤石ではなくなりました。無謀な戦争によって暮しも人権も破壊され、空襲や原爆の標的になった日本人は、戦争といえば「被害」を意識しがちです。 その一方で日本が犯した加害には「忘却」という方策が取られたのではないでしょうか。私達のファミリーヒストリーにどす黒い戦争が立ちはだかったと同様に、いきなり日本軍が鉄砲を担いでやって来た国の人々のファミリーヒストリーに癒しがたい爪痕を残したことを、みなさんどれほど意識しているでしょうか。「加害」を語ることは「自虐」と思いますか? 「ファミリーヒストリーと戦争。家族で話したことありますか?」という問いにYES・NOで投票することと併せ、日本人が受けた「被害」にとどまらず、他国の人に与えた「加害」に目をむける(あるいは目をつむる)ことを、あなたはどう考えますか。ご意見を投稿して下さい。★山田議長の過去の円卓会議より・沖縄の「慰霊の日」、知っていましたか?・沖縄の民意。活かす方法はあると思いますか?・8月。戦争について何か考えましたか?
イー・ウーマン
表参道カレッジ
eshop
©2014 ewoman, Inc.