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会議番号:3760 開催期間 2024年10月11日- 12月20日
「年収の壁」を見直し、撤廃するには何が必要だと思いますか?についてもご意見、ありがとうございます。 毎週日曜放送されている国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』そして『サザエさん』を見ながら、「年収の壁」を作った「第3号被保険者制度」が創設された1985年(昭和60年)当時と今の家族の姿の変化を感じます。 私の愛読書『男女共同参画白書』、毎年巻頭に特集があるのですが令和4年版は「人生100年時代における結婚と家族~家族の変化と課題にどう向き合うか~」。 それには、「家族の姿の変化」が紹介されていて、1980年(昭和55年)時点では、全世帯の6割以上を「夫婦と子供(42.1%)」と「3世代等(19.9%)」の家族が占めていました。しかし、2020年の時点で最も多いのが「単独」世帯で38%、「夫婦と子供」世帯は25%、ちびまる子ちゃんやサザエさんのような「3世代等」は7.7%となっています。 白書では「我が国の社会保障制度は1960年代の高度経済成長以降に、右肩上がりの経済成長と低失業率、正規雇用・終身雇用の男性労働者と専業主婦と子供という核家族モデル、充実した企業の福利厚生、人々がつながりかった地域社会を背景として、国民皆保険・皆年金を中心に形づくられた」としています。 Penguinさん、もろりんさんがおっしゃるように、単身世帯が最も多くなった今、「世帯」で考えるのではなく「個人」で考える時代になってきているのに、制度が追い付いていないと感じます。 そして、佐々木かをりさん(!)が指摘されているように、 「『年収の壁』は女性たちが働かないようにするために男性たちが仕組んだ罠ではないかとさえ考えています」とのご意見。 まさに!「配偶者控除」、「配偶者特別控除」の制度も、いわゆる「内助の功」を税制上評価しようというもので、「第3号被保険者制度」、さらに企業の「配偶者手当」といった制度や慣行が、女性を夫を支える専業主婦、働いても家計の補助、という存在にとどめていると感じます。 そして、シンゴパパさんがおっしゃるように「年収を抑えても得にならない仕組みにすれば、壁は自然となくなる、子育て家庭へのサポートは、子どもの扶養控除や大学までの授業料・医療費無償化等でサポートすればいい」、その通りだと思います。 実際に、見直しの動きも出ています。 ことし8月、人事院は国家公務員の「配偶者の扶養手当」の廃止を勧告し、その財源で子どもの扶養手当を拡充すると発表しました。企業の「配偶者手当」についても見直しを進めるよう、厚生労働省がフローチャートまで作成しています。 共働き世帯が専業主婦世帯の3倍となるなか、配偶者がいるかどうか、また、働いているかどうかで手当があるのは不公平なので、扶養手当は、子どもに、と思います。 そして、わたしは、「不公平」なことが、大きな問題だと思っています。 Wrennさんが「年収の壁の問題は一部の『裕福な』人たちの話題」、というのを裏付ける「夫の年収が高くなるほど妻の有業率が低くなる」というデータもあります。 やっちゃんさんが感じる違和感、そして、「第3号被保険者制度」の見直しが進まないのは、意思決定の場にいる、官僚や政治家、大企業の役員など、専業主婦を妻に持ち恩恵を受けている人の意識が変わらないから、というのも取材していて実感します。 先月、野村総研が、企業にとって衝撃的な調査結果を公表しました。「『年収の壁』を意識して年収を一定以下に抑える有配偶者パート女性の割合は約6割、時給上昇に伴い、約210万人がさらに労働時間を削減する可能性がある」というのです。 人手不足が深刻化するなか、約210万人もの人が、もっと働けるのに就業を抑制する。実は大問題だと思いませんか? おがわさんがおっしゃる通り、 「年収の壁」を見直すには、こうしたさまざまな情報提供、そして、制度の充実が重要だと思います。この問題が、専業主婦など女性の問題ではなく、人手不足、非正規雇用の賃金抑制、貧困につながっている、ということを、意思決定層にいる人たち、男性も理解し、危機感を持ち、「年収の壁」を見直すためには、何が必要なのか。性別問わず、仕事と家庭を両立できる制度の充実と車の両輪で進めることが必要だと思います。 Jerryさんが大事な視点を提起してくださっています。 「年収の壁」を超えないように働き、負担しなかった人の分の社会保険料は誰が負担しているのか、という点です。現役世代の社会保険料の負担、本当に大きいですよね。 来年は昭和100年!少子高齢化が進むなか、「昭和」のままの制度では、私たちの子どもたちの世代の負担はどうなるのか、と思います。 そこで、皆さんへの最後の質問は、「『年収の壁』、扶養の範囲内で働いた方が得」という、魔女の呪いを解くために、あなたができることは何ですか?」です。 大学などで講演すると学生から「専業主婦になりたい」「結婚したら、妻には専業主婦でいてほしい」という意見が出ます。個人の選択、ではありますが、身近な「無意識のバイアス」を意識し、変えていく必要性も感じます。皆さんからのご意見、お待ちしています。
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