働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3382 開催期間 2016年03月04日- 03月11日
皆さん、こんにちは。日経の関口です。今週も1週間お付き合いくださり、ありがとうございました。「アップルは端末ロックを外し、FBI捜査に協力したほうがいい」という方は最終日で34%、そうでないという方は66%と、アップル支持派が回を追うごとに増えてきましたね。最終日にいただいたご投稿でも、kkoさんのように「国民に疑問を投げかけたクックの判断は正しかった」といったご意見が多数見受けられました。 前回の質問で「皆さんがアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)だったら、どんな行動をとりますか」とお聞きしましたが、ひるねさんが「通信会社というビジネスをする以上、顧客の人権を侵すことは決してしないと覚悟を決め、ティム・クックと同じ決断を下す」といわれているように、おおむねアップルの姿勢を評価する声が多かったようです。国連のザイド・フセイン人権高等弁務官が「米当局は何百万人もの人権を著しく損なうことになる『パンドラの箱』をあえて開けようとしている」という声明を発表するなど、世界の世論もアップルを支持する声が多かったように思います。 実は今回の件ではFBIの捜査にも問題がありました。というのもサンバーナディーノ郡の保健局職員だった容疑者が使っていたiPhoneは郡が業務用に貸与していた端末でしたが、事件があった後、FBIの要請により郡がiCloudのパスワードをリセットしてしまっていたのだそうです。iPhoneの端末情報は常にiCloudにバックアップされますので、通常はそこにアクセスすれば情報は得られるわけですが、現場の初期動作が過っていたために情報にアクセスできなくなりました。これは米連邦議会が3月1日にコミーFBI長官を公聴会に招いた際に確認されたことですが、最新のハイテクがからむ犯罪に対しFBI自体の捜査能力が追いついていないという問題も露呈してしまったといえるでしょう。 では、今後の見通しですが、問題が法廷論争や米連邦議会に持ち込まれたことで、結論が出てくるのはしばらく先になりそうです。だとすれば、性急に結論を出すよりも、今回の事件をきっかけに「国家が安全保障上認められる権利はどこまでなのか」「企業は顧客のデータを守るため、どこまで責任を持つべきなのか」、そして問題があった場合には「国家の安全保障と個人の言論の自由やプライバシーをどうバランスさせていくのがよいのか」といったことを広く議論していくことが重要でしょう。もちろん日本にとっても、これは対岸の火事ではありません。n.danさんが「アップルの厳しい態度は日本も見習う必要がある」と指摘されているように、今回の事件を踏まえ、日本国内でもおおいに議論を深めていく必要があるかと思います。 皆さん、改めまして本当に1週間ありがとうございました。またイー・ウーマンの円卓会議で意見交換ができますことを楽しみにしております。★参考リンク:関口議長が執筆された記事「アップルはなぜFBI捜査に協力しないのか 」★関口議長の過去の円卓会議より・個人向けクラウドサービス、使っていますか?・スマートフォン、活用していますか?・情報の片付け、上手にできていますか?
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