イー・ウーマン（ewoman）

再びつながり合う懸け橋に（グッドラック・千葉県・51）

私が身を置く「百年に一度の大変革期」にいる自動車関連業界において、米国はこの数年指導力を失いつつあったと見ています。現在業界内で世界を先導するのは脱炭素化に大きく舵を切るEU諸国、そして中国で、日本も主に欧州・中国に目を向け事業を展開しているのが現状です。が、「環境」という共通言語が持てれば、協業の輪の中に米国が復帰する機はあると思っています。環境をキーワードに世界規模のサプライチェーンが再度繋がる、その懸け橋になれるのが我らが日本だと信じています。

丁寧な対話を（Jerryb・東京都・53）

国際協調の中でつきあっていく相手として米国を位置付け、日本の立場やアジアの情勢を踏まえながら共に世界全体の経済や社会の回復を目指して行ってほしいと私は思います。前大統領の残した負の遺産は大きく、バイデン新大統領がやることは満載なので二国間の関係にしばらく進展はないでしょうが、先の見通せない今後は今まで以上に丁寧に対話を進める必要があるのではないかと思っています。

振り子が戻ってくる（Penguin・海外・その他・42）

今回の選挙戦から私が感じたことは、バイデン大統領はこの時期だからこそ選ばれたのだな、ということです。過去四年、過激な方向へ政権が流れ、もし民主党がリベラルな候補を立てても、前回トランプ前大統領支持だった人は傾かなかったでしょう。向こうまで振れた振り子が、だんだん戻ってくるのが今回の政権なのだと私は思いました。外交においても、聞きたいこと、言いたいことだけのアメリカから、国家間の相互理解を深める姿勢を取り戻すのではと期待しています。

雇用と治安（真打ち・栃木県・51）

日米、自国の雇用が安定しなければ、中国問題へ取り組む"体力"が心配だ。規模や人種は違えど、最大課題はコロナで乱れた雇用体制の立直しではないだろうか。私は息子の感染に伴い(家族は陰性)、2週間仕事を休んでいる。不在にあたり連絡調整もあったが、痛感したのは『戻れる場所がある』ことが、いかに幸せかという点だ。私は、雇用不安と治安悪化は直結した併行課題だと考える。日米の連携が従来以上に強固な絆となるよう、切望する。

平和のために主体的な行動を（レッズ・埼玉県・40）

バイデン政権は国内の統合に注力することから、国際的な米国の存在感は弱まると思っています。その隙をついて、私は中国が台湾の併合に動くのではないかと警戒しています。尖閣諸島も中国に奪われるかもしれません。日米同盟は大切だと思いますし、維持して欲しいですが、それだけに頼るのではなく、平和のために、日本だからこそ出来ることを主体的に行動して欲しいです。

相手の弱みを互いに補えるか？（地球交響曲・大阪府・43）

米は対中やイスラム圏などとの関係性が悪い状態が続いていて、日本は菅政権の諸々の対応の悪さが響いて弱まっているというのがあるので、まずは共通の懸念材料の中韓との関係を協力出来る範囲で足並みを揃えられるかどうか。後は互いの国同士の取引関係についても、主に中国関係を考えて両国共に不利益にならない協力関係を更に強める事が出来るかどうか（日本が今までの様な受け身がちな姿勢では駄目ですが）に掛かっていると思います。

クリーンエネルギー関連（DiamondBar・東京都・52）

報道でもあるように脱ガソリン車、クリーンエネルギーへの流れは加速すると思います。欧州でもこの流れは先行しており、日本もこれに対応していかないと自動車産業という大きなピラミッド構造のある日本経済は大きな打撃を受けると思います。この分野で先行する中国との競争も熾烈でしょうが、日本企業の技術力を生かし世界に向けて展開するチャンスにもなると思います。日本の産業界の浮沈を決めるような潮流だと思っています。

問題は山積みですが（2kishir0・東京都・31）

菅政権もバイデン政権も、中共には迎合せず毅然とした態度で対応して欲しいと思っています。あまりにも横暴な振る舞いに、本当に今後何をしてくるかわからないな…ととても心配しています。菅政権は国内の問題も山積みですが、安倍政権の外交を見習って、各国への存在感をなんとか出してほしいところです。

対等な立場で（パフィンドーナッツ・埼玉県・52）

今までは言われて従ってきた印象が強いので、対等な立場で国交をして頂きたいと思います。コロナ対応という大きな問題を世界各国が抱えている中での外交は通常よりも困難さを伴いますが、お互い力を合わせての方向に向かうことを願います。

21日の未明、バイデン新大統領の就任演説を聴いて、さあ寝ようかと思ったら黄色のコートをまとった若い女性が登壇しました。誰だろうと思ったら、22歳のアマンダ・ゴーマンという詩人でした。「国は壊れているのではなく未完成なだけ」と、「私たちが登る丘」と題した詩を朗読しました。
 
「奴隷の子孫でシングルマザーに育てられた痩せっぽちの黒人の少女が大統領になることを夢見られるようになった」
 
78歳の大統領の就任式で、22歳の黒人女性が笑顔で「夜明け」を語る。アメリカも捨てたもんじゃない、と思いました。この円卓会議での「アメリカは大丈夫、だと思いますか？」という問いかけに、当初は３割だったイエスが４割まで増加しました。バイデンのアメリカにかすかな希望の光を感じる人たちがふえたということでしょうか。
 
「向こうまで振れた振り子が、だんだん戻ってくるのが今回の政権」と、Penguinさん。新大統領が就任直後に署名した大統領令には、パリ協定への復帰、WHOからの離脱手続きの中止などが含まれていました。たしかに振り子は、一国主義から国際協調主義へと戻っていきそうです。それでは、安倍前首相がトランプ前大統領と密接な関係を築いたといわれる日米関係の振り子はどうなるのでしょうか。
 
「国際協調の中でつきあっていく相手として米国を位置付け、日本の立場やアジアの情勢を踏まえながら共に世界全体の経済や社会の回復を目指してほしい」とJerrybさん。パフィンドーナッツさんは「今までは言われて従ってきた印象が強いので、対等な立場で国交をして頂きたい」。外交はトップ同士が対話で得る信頼感が大事です。内弁慶に見える菅首相にその力があるかどうか、試されることになります。
 
もっとも気になるのは米中関係で、バイデン政権が軍事、経済、人権で中国にどう対応するのかによって、日米関係も変わってきます。日米経済摩擦の残り火がある時期に登場したクリントン大統領は、日本に立ち寄らずに中国を訪問し、ジャパンバッシング（日本たたき）からジャパンパッシング(日本無視)へと言われました。地球交響曲さんは「主に中国関係を考えて両国共に不利益にならない協力関係を更に強める」と言います。対中関係では、日米の協力が大事だということでしょうか。
 
2kishir0さんは「菅政権もバイデン政権も、中共には迎合せず毅然とした態度で対応して欲しい」という意見、レッズさんは、内政に集中せざるを得ないバイデン政権のすきをついて中国が台湾併合や尖閣諸島の奪取に動くのではないかとして、「日米同盟は大切だと思いますし、維持して欲しいですが、それだけに頼るのではなく、平和のために、日本だからこそ出来ることを主体的に行動して欲しい」と言います。
 
バイデン政権の今後の対中政策の方向性を示唆するのが、オバマ政権で東アジア・太平洋担当の国務次官補を務めたカート・キャンベル氏を「インド太平洋調整官」という新設のポストに起用することです。対中強硬派のひとりといわれ、米国が中国への警戒感を怠らなければ、中国の身勝手な行動を抑止することになるかもしれませんが、その一方で、普天間基地の辺野古移設問題などでの政策転換は期待できませんね。
 
コロナの影響で2020年に経済を成長させた主要国は中国だけになりそうですが、中国と対抗するには、経済的な力を蓄えることも必要です。真打ちさんは「日米、自国の雇用が安定しなければ、中国問題へ取り組む"体力"が心配」だと言います。たしかに日米とも、雇用を含めた実体経済が鈍っているなかで、株価だけが空騒ぎをしているのが心配です。中国に対して、日米の経済力を誇示しようにも空威張りでは話になりません。
 
バイデン政権がクリーンエネルギー政策に舵を切ると見られるなかで、実体経済の成長の鍵を握るのは、自動車産業です。グッドラックさんによると、自動車業界は「百年に一度の大変革期」だそうで、日米がこの大波を乗りこえるには、「環境をキーワードに世界規模のサプライチェーンが再度繋がる、その懸け橋になれるのが日本だ」と言います。DiamondBarさんも「日本の産業界の浮沈を決めるような潮流だ」としたうえで、この流れで先行するのは、欧州や中国だと見ています。
 
脱ガソリン車への流れを加速するには技術開発と企業連携が求められますが、それを支えるのは国民の意識と国家の決意で、少なくとも欧州は国民の意識で、中国は国家の決意で先行しているように見えます。自動車が機械の箱から電子の箱に変化する時代、ここで夜明けの光をいち早く取り入れなければ、闇の中に取り残されることになります。日本にとっても米国にとっても正念場です。
 
アメリカは大丈夫ですか、という問いは、そのまま日本にも返ってきます。経済の土台が崩れていけば、民主主義はあだ花に終わります。人のふり見て我が振り直せ。一週間の議論、ありがとうございました。


★高成田議長の過去の円卓会議より
・バイデン氏勝利、日米関係に変化ありますか？
・米大統領選、注目していますか？
・米中貿易協議、注目していますか？

• 2021.01.22
• 高成田享 コラムニスト、元 朝日新聞論説委員