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会議番号:3631 開催期間 2021年03月05日- 03月12日
最終日のご意見、ありがとうございました。 やはり、この議論は、難しいです。イスラエルのように接種後、安全性の問題が噴出した際には、政治問題以上と共に倫理問題にもなります。 ただ、感染症危機管理は、バランスをとることは大切ですが、毎回同じような感染症が起きるわけではなく、致命率50%のエボラ出血熱感染症なのか致命率2%の新型コロナウイルス感染症なのか? 患者数が数百人なのか、数万人なのか? 実行再生産数が1.5なのか、7なのか? さまざまな要因があります。 みなさんのご意見では、国民性を考慮して、安全性を優先してよかったのでは? が多く、概ね政府の判断を理解していますね。 Jerrybさんは、今後のことを思うと、ワクチンやマスクが国民に迅速に行きわたる仕組みは必要、との意見です。2009年の新型インフルエンザ発生時、国内のワクチン生産が後手になり、政府は緊急的に海外メーカーのワクチン輸入を決めましたが、ヨーロッパの国々から出し渋りが起こり、結局海外産ワクチンが国内に輸入されたときには、国内産ワクチンの分配が始まり、海外メーカーワクチンは、ほぼ使用されませんでした。政府は、違約金200億円以上を払うという結果で終わりました。日本は、あの時、感染症危機管理の何を学んだのでしょうか? もう一つ、感染症の危機管理のお話をします。1976年の豚インフルエンザフォートディックス事件をご存じですか? 1976年1月に豚由来のインフルエンザウイルスが、ニュージャージー州のフォート・ディックス陸軍基地内で流行し、200人以上が感染、数名が重症となり、1名が死亡しました。2月、CDCは、ウイルスが1918年のスペイン風邪(致命率2%)由来の新型インフルエンザであることを明らかにしました。病原性の高さを恐怖に感じたフォード大統領は、政治的決断で、10月に全国民対象のワクチン接種プログラムを開始しました。米国民4000万人以上がワクチン接種を受けたところで急展開が起こります。ワクチンの副作用として、ギラン・バレー症候群(多発性神経炎)が500例以上報告され、約30名が死亡しました。結果、ワクチン接種は中止されました。最終的にパンデミックは起こらず、豚インフルエンザによる死亡は1名のみでした。 今回のイスラエルの判断では、安全性の結果が現時点で良いため、決断は英雄視されていますが、問題があった場合には取り返しがつきません。 さて、今日が最終日なので、今後国内で接種が開始されるAstraZeneca/Oxfordのウイルスベクターワクチンについて、追加の解説をします。 このワクチンは、ヒトに病原性を持たず、チンパンジーにのみ病原性をもつアデノウイルスを使用します。アデノウイルス内に、新型コロナウイルスの遺伝子を入れてヒトに接種します。ウイルスはヒトでは病原性がないので、体内で感染後も症状を出さずウイルスの遺伝子のみが体内細胞に取り込まれます。その後、体内の細胞でウイルスタンパクが合成され、その後、抗体が産生されます。 過去に世界で承認されたウイルスベクターワクチンは、欧州で承認された米Johnson & Johnson社のエボラウイルスワクチンと、中国で承認された中国CanSino Biological社のエボラウイルスワクチンのみですので、世界的な接種となるとウイルスベクターワクチンも人類初といっていいです。 このワクチンの有効性は、前回お話した通り、接種群が2つあり、2回とも通常接種量を接種した場合の有効性は62%、一方で初回のみ規定の半分を接種した場合は約90%でした。どちらの接種量になるのかは、AstraZenecaと厚労省の議論になると思います。ワクチン保存は、2-8度で可能なことから、既存の輸送・保存システムを使用できることが非常に大きな利点です。 一般的なワクチン開発には10年以上の時間がかかることを考えれば、Moderna、Pfizer/BioNTech、AstraZeneca/Oxfordが、この超短期間(開発から1年以内の実用化)で成し遂げた功績は、突出した技術力の高さと資金力、そして、世界的プロジェクトとして全面的に開発をサポートした米国、ドイツ、イギリス政府のプライドだと思えます。 「自国民の安全安心を最優先に」と全世界が考える中、日本国内のワクチンメーカーがMade in Japanワクチンを製品化できていない状況では、海外メーカーのワクチン供給量が不安定なのは仕方がないと思います。昨年春、マスクや医療用ガウン、手袋など、多くの医療品がMade in Chinaであることから供給不足に陥り、国内の医療品製造業の手薄さを嫌というほど痛感しました。 マスクを外して会話・食事をすれば、新規感染者は増えます。感染者が増えれば、重症患者も増えます。今後、ワクチン接種希望者全員が、どのくらいの期間で接種完了するか、正直わかりませんし、仮にワクチン接種が順調に進んでも、集団人口の50-70%の方が免疫を持たないと、感染のコントロールは難しいと思います。新型コロナウイルス感染症を確実に抑え込むには、あと数年はかかると思います。 皆さんは、ワクチンの有効性と安全性を考え、ぜひ、最良の選択をされてください。 私は、昨日、医療従事者の枠でmRNAワクチンを左上腕に接種しました。今朝は、局所の強い疼痛で腕が動かしづらいです。全身倦怠感や発熱はありませんでした。3週間後、2回目を接種します。自分が、95%側に入っていることを信じて、第4波に備えていきます。 1週間、難しい緊急的な課題に対して、ご意見ありがとうございました。★田村議長の過去の円卓会議より・コロナとインフルエンザ。対策、できていますか?・地域の感染症情報、気にしていますか?
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