働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3740 開催期間 2024年03月08日- 03月15日
本日も、いろいろな迷いの投稿を受け取りました。一緒に学び、考えていきましょう。 まず、かおるーんさんの投稿では、男女差別しないと謳っている企業でも管理職のほとんどが男性という事例、まうやんさんの病院でも管理職のほとんどが男性。この2つの事例から考えることは、「実力とは何か」ですね。 わかりやすく考える事例として、スーパーのレジ打ちの人の実力評価で想像しましょう。もしも「売上総額」や「総顧客数」を実力評価として、その人の時給を決めるということをしたならば、労働時間が長い人の方が、売り上げ合計は高くなる可能性があります。ものすごくスピードも速く正確に仕事している人がいても1日3時間のレジ打ち業務であれば総合売上や人数は高くならず、時給が上がりません。男性にも女性にも、いわゆる「仕事ができる人、できない人」が同じ割合でいるのですから、「我が社は実力主義です」というならば、どの役職にも同じように男女がいて良いはずです。 これを点検できる一番わかりやすいデータが「男女賃金格差」です。2022年7月に厚生労働省が発表したとおり、従業員が301人以上の企業はホームページ等で公開しなくてはならなくなりました(参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26587.html)。 同じ役職では差がない、ということを言う企業がありますが、同一労働同一賃金ですから、それは当たり前の前提なのです。注目して欲しいのは、全社での比較です。これは、社長から新入社員まで、その会社に働く人の全員の給与を足し、人数で割ります。ですから、給与の高いポジションに男性が多いかどうかがすぐにわかります。しかし、データを見ると「労働者」と書いてあるところが多く、経営者は労働者ではないという理論を使って、経営陣を除外して発表している企業が多いと思われます。注意点ですね。 また、わかりやすいところに開示しているか、奥の方で探さないとわからないところに開示しているか、も姿勢がわかりますね。「えるぼし」認定企業なども、1社ずつ、見てみてください。驚く格差です。 Lindenさんはスイスの製造業。そこでも苦労されているとのこと。今度詳しく状況を伺いたいです。スイスはEUではないですが、女性管理職が増えることで企業業績が上がるデータも広く知られるようになり、E Uも英国も取締役のクオータ制を導入していますので、どんどん進むことと思います。 いぬいるかさんの問いかけが、まさに、私の本日の問いかけです。 データから見ていきましょう。 1つ目は、投資のデータです。 投資家は、国籍や年齢、性別に関係なく「成長して利益が出そうな企業」に投資をします。ですから数字等を見て評価するのが本来の仕事で、アンコンシャスバイアスがないはずの業界です。しかし、アメリカの2022年度の投資家の投資先は、なんと男性経営者に98%、女性経営者にはわずか2%というデータが発表されているのです。アメリカの女性経営者が、そんなに少ないと思いますか? 2つ目は、音楽のデータです。 アメリカのオーケストラで、演奏者が白人男性ばかり、ということに疑問を持った人たちがいました。審査員は、もちろん差別をしていないし、実力ある音楽家を選んだ結果であると言ったのですが、審査員と応募者の間にカーテンを垂らし、靴の音も聞こえないようにして、演奏だけで評価したら、女性や非白人の合格者が急増した、という事例があります。昨年2023年に男女の賃金格差の要因など研究でノーベル経済学賞を受賞したゴールディン氏も、このオーケストラの事例は論文にされています。 私たちは、「男女差別をしていない」「実力で評価している」と自分では思っていても、実際は、違う。男性を高く評価し、女性を低く評価するという傾向があるということを知る必要があります。誰にでも無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)があることを常に意識し、平等とか実力とかという言葉で間違えないように、公平(イクイティ)に評価する必要があるのです。あ、また、新しい単語を出してしまいましたね。「公平(イクイティ)」も、またいつか別途、ここ「ダイバーシティ円卓会議」でテーマにしましょう。 ということで最後、4日目に向けて、私たちは未来を作り上げるために、どうしたら良いのかを考えたいです。 政治家の評価も、女性政治家には厳しいと感じますし、女性政治家が増えない。女性経営者、女性取締役、女性管理職など、決定権を持つポジションに女性が増えないと、さまざまなことが変わっていかないなあと思います。 アンコンシャスバイアスは、存在する。先日の日経新聞の取材でもコメントに入れましたが、構造格差を是正しなくてはなりません。(日経新聞2024年3月8日「L字カーブ解消遠く、非正規待遇なお課題 国際女性デー」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD087IE0Y4A300C2000000/) そこで、最後の質問です。クオータ制については、どんな考えをお持ちですか? アンコンシャスバイアスがあるのですから、なんらかの対策が必要だと思いますが、あなたの考え、事例を教えてください。★佐々木議長の過去の円卓会議より・女性社外取締役を増やす目的、ご存じですか?・「ダイバーシティ経営」の成果、実感したことありますか?・無意識の偏見。人事評価に影響していると思いますか?<運営事務局より>投稿は、お一人お一人の視点や体験を言葉にしていただく、大変貴重なシェアリングです。・自分を主語としたI statement で書いてください。掲載する投稿は、「私は」を主語に変更させていただく場合もありますのでご了承ください。・引用がある場合は、必ず引用元を明記してください。・議長からの各日の投げかけ(赤字部分)に答えた内容で投稿してください。
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