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会議番号:3380 開催期間 2016年02月19日- 02月26日
「自分で選択するときどんな情報があると良いか」との投げかけに、おれんじ78さん、mayupyonさん、marco302さんの3人から、「一つの症状に対し、どのような体質にどの漢方薬が合うか」のガイドラインがほしいとの主旨で投稿いただきました。 漢方の診察の基本は四診(望診・問診・聞診・切診)によって、漢方医が患者の情報を集め、総合的に診断します。漢方医にとっても、この診断能力をしっかり身につけることは容易ではありません。そのため、現在、体質に関する問診内容や症状などを入力していくことで、漢方処方を絞っていくようなソフトを研究している研究グループもあります。そうしたソフトが開発され、広く一般からもアクセスできる時代が来れば、より自分にあった漢方を気軽に試せるかもしれません。経験医学として発展し長い歴史をもつ漢方医学とは、相反するような面もあるかもしれませんが、漢方のメリットを多くの方に広めるための一つの新たな取り組みでもあると思います。 おれんじ78さんからは、自分が中程度の体力なのかやや虚弱なのかは判断しにくく、もっと具体的にチェック項目があると助かる、というご意見をいただきました。基本はしっかり四診を行って見極めてもらうことが重要ですが、より詳しい問診によってもある程度、体質の傾向がわかります。雑誌などの漢方特集にも問診表のようなチェックリストが掲載されているのをよく見かけますので、そういったものを活用されても良いかもしれません。さらに、そうしたチェックリストが、marco302さんがいうように、漢方を購入できる場(インターネットやドラックストア)で簡単に試せるとより利便性が高まると思います。 よりしっかり自分の状態を把握したい場合は、Hiro2さんが試してみたいという「東洋医学の人間ドック」を受診してみても良いかもしれません。一部、大学の漢方医学研究所やクリニックで、漢方医学的問診や漢方専門医による診察を充実させた漢方ドックを実施している施設があります。以前、私が見学にいった北京の健診センターでは、日本と変わらない項目の人間ドックに加え、中医師による中医学(中国医学)的な診察もセットになった人間ドックが行われていました。自覚症状のない病気を検査で早期発見する西洋医学的検査と、検査データには反映しない不調を未病の段階で発見する中医学の融合で、予防医学としては非常に良い試みであると感じました。 また、今回はいくつかの具体的な症状に対して効果がある漢方について知りたいという投稿が多くありました。詳細にはお伝えできませんが、いつくか候補となる漢方を挙げてみたいと思います。 まず、女性に多い「便秘」。これも漢方が得意とするところではありますが、ayaPaさんはご自分で薬局で買った漢方では効果がなかったことがあるようです。便秘といってもどういうタイプの便秘であるかによって処方が異なります。一般的に幅広く様々な便秘に効果があるのが大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)、水分が失われ兎糞状の便には麻子仁丸(ましじんがん)や潤腸湯(じゅんちょうとう)、内臓脂肪も多いようなタイプの方の便秘には防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、更年期症状もあり便秘もある方には桃核承気湯(とうかくじょうきとう)など、いくつもの候補があります。もちろん、漢方のみに頼るのではなく、食事や適度の運動も大切です Kkoさんからは「風邪」に対する質問がありました。「風邪」にはいくつかの段階があるので、漢方ではその段階(ひき始めやこじれたときなど)や体質によって漢方薬を使い分けます。ひき始めの風邪(悪寒がするとき)には葛根湯(かっこんとう)が有名ですが、その他、麻黄湯(まおうとう)、桂枝湯(けいしとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、麦門冬湯(ばくもんどうとう):風邪が長引いて咳き込み痰がでないとき、竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう):微熱が続き痰が多く出て眠れないとき、などがあります。 「花粉症(アレルギー性鼻炎)」には、抗炎症作用のある小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が広く使われており有名です。手足の冷えが強く全身倦怠感があるアレルギー性鼻炎に対しては、麻黄附子細辛湯が用いられることもあります。その他、鼻粘膜の発赤の有無や体質などで別な処方が選択肢となることもあります。 「風邪を引かないようにする」ためには、本来持っている免疫力などを活性化させる漢方薬「補剤(ほざい)」が使われます。補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)などがあります。漢方には、内服後30分程度で効果を感じるものをありますが、補剤は長期的に内服することができる分、即効性は感じにくいかもしれません。患者さんに伺うと「内服していてあまりこれといった効果は実感できないけれど、そういえば最近、風邪を引かなくなりました」というような実感の仕方をする漢方です。 Walk714さんは、漢方ではなくアーユルヴェーダ、ayaPaさんはサプリメントを取り入れて体調管理を行っているという投稿もいただきました。漢方だけでなく、他の伝統医学や、サプリメントなども、不足したものを補い、過剰なものを取り除いて心身のバランスを保つという共通の考え方があるように思います。漢方やサプリに頼らずとも、食生活に気をつけることも立派な食養生で、漢方の一つの大切な考え方です。 患者さんの中には、「ある漢方との出会いで長年の苦しみから解放されて人生が変わった」とまでおっしゃる方もいます。漢方について、より多くの方に理解を深めていただくためには、どのようなことが必要でしょうか。たとえば、小さな漢方セミナーがあったらいい、とか、市民公開講座などが多く開かれるといい、漢方の知識が豊富な医師が増えるといい、など、皆さまのご意見をお聞かせください。 ★鈴木議長の過去の円卓会議より・過去1年、婦人科検診を受けましたか?・婦人科系の体調管理。漢方を使ったことがありますか?・いきつけの婦人科、ありますか?
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