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会議番号:3742 開催期間 2024年03月22日- 12月06日
いよいよ最終日です。今回は同性婚の法制化が「職場やコミュニティなど、組織にどんな影響があるか」について考えていただきました。 unagiさんは「当事者の生産性が上がることはもちろん、当事者ではない人にとってもより多様性を認める職場環境の実現で、多くのメリットがもたらされる。優秀な人材も獲得しやすくなるのでは」と労働生産性や採用の観点からメリットを挙げてくださいました。 2日目、3日目に見てきたように、同性婚の法制化は人権問題として取り扱う必要があり、第一義的に考えたいことは当事者のメリットです。しかし、副次的には企業にとってもメリットが考えられます。 同性婚の実現は、日本がLGBTQ+インクルーシブな国であるという表明にもなります。これは、当事者の日本人人材を日本にとどめ、外国人当事者にとっても働く場所としての日本の魅力が増すことにつながります。現在、外国籍の同性パートナーがいる日本人当事者の中には、一緒に生活し続けるために、相手の国に移住するという選択を取る人が多くいることも事実です。日本でも婚姻の平等が実現し、配偶者ビザの取得が可能になれば、2人して日本で働き続ける選択肢が生まれます。 さらに、同性婚とは直接関係しないものの、LGBTQ+フレンドリーな企業は、企業の業績がよく、市場での評価も高いことがわかっています。フィンランドのアアルト大学とヴァーサ大学の研究者による研究では、2003年〜2016年に米国の上場企業657社の財務実績とLGBTQ フレンドリーなポリシーの関連性について調べたところ、LGBTQ フレンドリーなポリシーをとっている企業ほど収益性が高く、株式市場の評価も高いことがわかりました。 電通グループ「LGBTQ+調査2023」によると、LGBTQ+フレンドリーな企業への就業意向は回答者全体で約6割と高くなっています。当事者の方が約7割と高いのはもちろんですが、非当事者層でも過半数がポジティブに捉えていることは注目に値します。 また、同性婚の法制化は、新しい消費を生むとも言われています。例えば、アメリカでは連邦最高裁判所がすべての州に同性婚を認めるよう判決を下した2015年以降、ウェディング産業に5年間で約38億ドルの経済効果があったと見積もられています。UCLAのウィリアム研究所によるこの推計は、結婚式にかかる費用やそのゲストが出席するのにかかる費用だけを算出したものなので、その他、結婚にともなう新しい人間関係を巡る消費が増えていることも推測されます。 さて、一週間、同性婚の法制化がもたらす影響について考えてきましたが、いかがだったでしょうか? 私は法律の専門家ではないので、憲法解釈に踏み込むことはできませんでしたが、同性婚訴訟の盛り上がりに合わせて、関連書籍の出版が相次いでいますので、ご興味あればぜひ書店で探してみてください。 先述の電通グループの調査では、LGBTQ+当事者の割合は9.7%。約10人に1人です。同性カップルが個人の尊厳を保ち、異性カップルと同じ法的・社会的利益を得られるよう、婚姻の平等の実現が切に望まれます。法制化の流れを後押しできるよう、これからも個人レベル、そして企業レベルでできることに取り組んでいきたいですね。 一週間お付き合いいただき、ありがとうございました。★中川議長の過去の円卓会議より・「パートナーシップ宣誓制度」で企業に求められる対応、ご存知ですか?★関連テーマ・あなたの街。LGBTの市民も住みやすいですか?・LGBTの課題への取り組み。企業の事例、知っていますか?
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