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会議番号:3422 開催期間 2017年01月13日- 01月20日
いよいよ最終回となりました。回を増すごとに一段と活発なご意見をいただき、ありがとうございました。4回目のテーマは、若年層の支援も含めた少子化対策案を募集しました。深慮いただいた多様なご提案が集まり、感謝です。日本の少子化要因は複数からみあっていますが、日本には婚姻制度があるため結婚と出産がセットで、未婚での出産は2.2%です。出産の前に結婚のハードルがあり、「初婚の晩婚化」が妊娠しづらさにつながり、少子化要因の一つとわれています。とはいえ、個々人の人生設計を無視して早く出産させるような風潮は抵抗が強いものです。女性の生涯未婚率が10.6%(2010年時点)となった今、日本の平均初産年齢は30歳を超え、世界一高齢初産が多い国となりました。2015年の厚生労働省人口動態統計による母親の出産年齢分布で見てみましょう。10 代の出産11,927人を含めた24歳以下の出産は、全体の9.6%で96,386人。20代後半が約26%で262,251人。30代前半が36%で 364,863人、30代後半は約23%で228,289人、40代前半は52,557人で45歳以上の出産は年間1308件あります。死産も全体で2万件以上あり、高年齢化はハイリスクであることは否めませんが、女性の出産年齢とは10代から50歳代まで幅広いことが再確認いただけるでしょう。 若年層の出産は予定外であることが多いですが、人口妊娠中絶数も一定数あるので、仕事をしたい希望があっても産む選択をしている場合もありそうです。6人に1人の子どもが貧困といわれる現代に、少なくなっていく子どもたちを、どのように豊かに育んでいくか。第3子の誕生は、30歳代前半の出産で65,069人、30 代後半で53,786人、40代も足すと出産全体の約16%です。若年出産の人たちが第2子、第3子とその後も出産していく可能性を考えると、 世代に合わせた育児支援と就労支援が必要といえそうです。若くして親となり就労経験が少ない20代女性を、社会がどのように支援していけるかを考えていきたいと思います。 ゆみ子さんから「20代母親という条件で、雇用側が採用を躊躇するのも理解できます。しかし多少の無茶をしても倒れない体力と若さがある20代ママの雇用は、30代になった彼女たちがもたらす業績の投資であることを認識し、価値で評価するような環境を整えるこ とも先行投資の1つなのかと思いました」というご意見いただきました。非常に建設的です。予期せぬ妊娠をしたとしても、20代のうちに職能のトレーニングができれば、30代には活躍するワーキングマザーとなるでしょう。若い母親ほど経済的支援と就労支援があれば、その子どもたちは貧困とならずに済むかもしれ ません。各地域の行政の保健センターとハローワークと商工会議所が連携して、若年出産層の就労支援などが必要です。 「多様な選択肢を認めるだけで良い」と、こはくさん。「フルタイムでバリバリ働きたいなら保育園環境の充実が必要。けれど例えば週2で働きたいなら週2で預かってくれる園も必要になります」とのご意見も。保育園問題は地域差がありますが、こはくさんのおっしゃるように、多様な育児方針を支える保育園の必要性は感じます。現在の一般的な保育園入園の条件はフルタイム勤務の人が優先です。そのため、経済的にフルタイムで働く必要はない場合でも、子どもを平日5日間預ける枠組み以外は認められません。週何日でも何時間でも預かれる柔軟な保育園も増えてきていますがまだまだ数が足りません。オランダのように、産後は週3日から復帰、1日3時間から復帰というように、子育て家庭ごとに働き方を選べるとよいと思います。 「子育てのため、だけでなく」と香港の情報提供をamacumoさんよりいただきました。家事・育児を担う家政婦が安価に雇えること、外食文化がさかんなことなどから、「子どもを育てる女性が外に出られるように」ではなく「外で働いている間は家のことはできない」ニーズに対して社会が機能しているとのこと。女性活躍推進どころか、もともと女性も働いていて当たり前の香港では、育児家事支援インフラも当たり前なのですね。 まうやんさんは、次世代が働きたくないために子どもを産むのが早いならば「仕事と育児の両立が素敵なことだと伝えるのなら、根本的な考え方を改革しなければならないでしょう」と提案くださいました。 キャリアカウンセラーから聞いたのですが、現在高校3年生を100とすると、その後に高校を卒業して大学や専門学校に進学し、最初の就職先で3年間継続就労する人は、100に対して20で「ストレーター」と呼ぶそうです。80%の25歳前後の若者は、就職しても3年継続していなかったり、高校や大学を中退したり、NEETの状況となっている現状があるそうです。もちろんハッピーに18歳から就職していたり、満足度の高い転職をしていたり、大学院に進学していたり、多様な進路が80%という意味です。ただ、新卒採用主流社会では、働き始めにくい状況がありそうです。 妊娠出産している層以外にも働きづらい状況になっている若者を支援することは重要です。未来の親たちだと想定し、また次世代の命も彼女たち彼たちから繋がるのだと意識した、若い世代が家族を築ける少子化対策は、必須です。 「政府と国と国民の本気で変わる!」とaaa11さんは、総論としてあると良い支援策を提示くださいました。不妊治療後の出産は、37歳で約17%、40歳時点で約8%との情報が主流ですが、支援費用の財源確保の議論は続いていくでしょう。現在の不妊治療費用補助は、2016年度から42歳までと決定しました。治療中は女性の心身も不調になりがちですので、仕事とのバランスも育児バランスも「包括的に支援する」ことを提案くださっています。具体策が各地域、各企業で開始されることを私も次世代も期待しています。 「子どもと自分、どちらも大事に」との意見をくださったえこりんさんは、子どもと自分どちらも学び、 楽しめる時間と空間を増やしていくロールモデルが可視化されていくことの重要性を説いてくださいました。これは古今東西、未来永劫、重要ですね。仕事中心 の育児政策では合理的で定量化できることしか、対策が組まれないでしょう。育児や妊娠出産は、恋愛と同じく「予定不調和」。ビジネスや仕事は「予定調和」。このバランスを各企業の業態や、自治体の政策でアレンジし、まずはパイロットプランから実践していくしかないでしょう。 「多様な生き方を受 け入れる」と綾○○○さん。学生時代に出産した世代を応援する策を提案くださいました。「保育園は学生の方優の先順位も変更すると良いと思います」とのご意見は新鮮でした。米国の大学のように学ぶ場に保育園があると解決するかもしれません。たしかに、20代の就労支援対策になりますね。 kko さんは、林文子横浜市長が、子育てを経て復職されたことを共有くださいました。主婦の経験が役立つ職能は多々あるはずですね「そんなに両立で無理をしないで子育てに専念し、“復職があたりまえ”となる世の中にするといいと思いました」とのご意見、世界でも家族政策が成功し、子どもが増え、両親となった男女が帰宅も早く、ワークとライフを楽しめる国は少なくありません。 今、長時間労働是正がこれまでにないほど、声高に世論となっています。これからも、一人ひとりが人間らしく自分らしく生活し、多様な働き方ができるように、皆さんとともに、未来を構築できたらと強く思いました。2017年3月9日には、少子化対策に取り組む自治体や企業を顕彰する、ベビー&バースフレンドリーアワードを開催します。内閣官房「働き方改革実現推進室」参事官もお招きし、報告もお聞きいただけます。これからも10年後に出産する世代となる高校生たちと、少子化改善する社会構造を一緒に考えてまいりませんか。 産む産まないに関わらず、生まれてくる命を豊かにはぐくめる未来を目指して。 多様なご意見を、本当にありがとうございました。★大葉議長の過去の円卓会議より・働く女性と出産タイミング。考えたこと、ありますか?・「流産」の心配や経験、職場で話したことありますか?・10代の出産、毎週250名。知っていましたか?★過去の円卓会議、関連テーマもあわせてご覧ください!・フィンランド流の子育て、ご存知ですか?・働くカップル。子どもは2人以上がいい?・「父親が子育てしながら働きやすい社会」。実現への良い知恵ありますか?
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